2021年08月05日 (木)

今日のお題:

以前からお話しは伺っていたのですが、ついに出ました。

The Tokugawa World - 1st Edition - Gary P. Leupp - De-min Tao - Rout
https://www.routledge.com/The-Tokugawa-World/Leupp-Tao/p/book/9781138936850



ホントは2019年に出るとかいっていたのですから、随分なことでございます。当方もいつ原稿を書いたのかも定かではなく。

しかし、1198 Pages ってどういうことでしょうか。お値段もエライ事になってます。こういう本になるって聴いてたかなぁ、と遠い記憶を呼び起こしてみたりします。


           Table of Contents

Introduction

Part I: National Reunification, 1563-1603

The Three Unifiers of the Empire (Tenka): Nobunaga (1534-82), Hideyoshi (1536-98) and Ieyasu (1543-1616) 
  Fujita Tatsuo

Japan’s Invasions of Korea in 1592-98 and the Hideyoshi Regime
  Nam-Lin Hur

The Life and Afterlife of Tokugawa Ieyasu (1543-1616)
  Morgan Pitelka

Part II: The Physical Landscape

Water Management in Tokugawa Japan
  Murata Michihito

The King Yu Legend and Flood Control in Tokugawa Japan
  Wang Min

Earthquakes in Historical Context
  Gregory Smits

The Centre of the Shogun’s Realm: Building Nihonbashi
  Timon Screech

Part III: Tokugawa Society 

The Samurai in Tokugawa Japan
  Constantine Vaporis

Villages and Farmers in the Tokugawa Period
  Watanabe Takashi

Popular Movements in the Edo Period: Peasants, Peasant Uprisings, and the Development of Lawful Petitions
  Taniyama Masamichi

Coastal Whaling and Its Impact on Early Modern Japan
  Jakobina Arch

Outcastes and Their Social Roles in Tokugawa Japan
  Maren Ehlers

Part IV: Family, Gender, Sexuality and Reproduction                    

Women in Cities and Towns
  Amy Stanley

Childhood in Tokugawa Japan
     Kristin Williams

Growing Small Bodies at the Point of Skin: Young Children’s Bodies and Health in Sacred Skinscape
  William Lindsey

Part V: Tokugawa Economy

Food Fights, But It’s Always for Fun in Early Modern Japan
  Eric Rath

The Silk Weavers of Nishijin: Wage-Laborers in the Tokugawa World
  Gary P. Leupp

The Marketing of Human Waste and Urban-fringe Agriculture around the Tokugawa Cities
  Tajima Kayo

Part VI: Tokugawa Japan in the World

Japan and the World in Tokugawa Maps
  Kären Wigen

Nihonmachi in Southeast Asia in the Late Sixteenth-Early Seventeenth Centuries
  Travis Seifman

Rethinking Ezo-chi, the Ainu, and Tokugawa Japan in Global Perspective
  Noémy Godefroy

The Opening of the Tokugawa World and Japan’s Foreign Relations: The Visits of Korean Embassies to Japan
  Nakao Hiroshi

Early Modern Ryukyu Between China and Japan
  Watanabe Miki

Dutch East India Company Relations With Tokugawa Japan
  Adam Clulow

The Presence of Black People in Japan During the Edo Perio
  Fujita Midori

Seventeenth Century Chinese Émigrés and Sino-Japanese Cultural Exchanges
  Shyu Shing-ching

Selective Sakoku? Tantalizing Hints of Japanese in China after the Tokugawa Maritime Prohibition
  Xing Hang

Tokugawa Japan and the Rise of Modern Racial Thought in the West
  Rotem Kowner

Part VII: The Performing Arts and Sport

The Musical World of Tokugawa Japan   
  Alison Tokita

Visual Disability and Musical Culture in Edo-Period Japan
  Gerald Groemer

Tominaga Nakamoto (1715-1746) and Gagaku (Court Music)
  Intō Kazuhiro

Staging Senseless Violence: Early Jōruri Puppet Theater and the Culture of Performance
  Keller Kimbrough

Rural Kabuki and the Imagination of Japanese Identity in the Late Tokugawa Period
  William Fleming

Sumo Wrestling in the Tokugawa Period 
  Lee Thompson

Part VIII: Art and Literature 

Shunga in Tokugawa Society and Culture
  Andrew Gerstle

Uses of Shunga and Ukiyoe in the Tokugawa Period
  Hayakawa Monta

Two Paths of Love in the Fiction of Ihara Saikaku
  David Gundry

Furuta Oribe: Controversial Daimyo Tea Master
  Kaminishi Ikumi

Grass Booklets and the Roots of Manga: Comic Books in the Tokugawa Period
  Glynne Walley

An Iconology of the Orchid Pavilion Gathering: Image, Text, and Communities in Tokugawa-Era Japan
  Kameda-Madar Kazuko

The Folk Worldview of Chronicles of the Eight Dog Heroes of the Satomi Clan of Nansō
  Inoue Atsushi

Okakura Kakuzō and the Osaka Painting Schools of the Tokugawa Era
  Nakatani Nobuo

The Rise and Fall and Spring of Haiku
  Adam L. Kern

Part IX: Religion and Thought

Christians, Christianity and Kakure Kirishitan in Japan (1549-1868)
  Jan Leuchtenberger

Pilgrimage in Tokugawa Japan
  Barbara Ambros

Structuring the Canon: Exceptionalism and Kokugaku
  Mark McNally

The Image of Susanoo in Hirata Atsutane’s Koshiden
  Tajiri Yūichirō

Itō Jinsai and the Origins of Classical Learning (Kogaku)
  Tsuchida Kenjirō

Mapping Intellectual History: The Neo-Confucian Schools of Zhu Xi, Wang Yangming, and Ogyū Sorai as Mirrored in Islamic Thought
  Kojima Yasunori

Emperor-Centrism and the Historiography of the Mito School
  Kojima Tsuyoshi

Heigaku and Bushidō: Military Thought in the Tokugawa World
  Maeda Tsutomu

Confucian Views of Life and Death
  Takahashi Fumihiro

Part X: Education and Science

Tokugawa Popular Education
  Brian Platt

The Greater Learning for Women and Women’s Moral Education in Tokugawa Japan
  Yabuta Yutaka

"Reading" of the Chinese Classics and the History of Thought in the Edo Period 
  Nakamura Shunsaku

Health, Disease and Epidemics in Late Tokugawa Japan
  William Johnston

Doctors and Herbal Medicine in Tokugawa Japan
  Machi Sunjurō

The History of Natural History in Tokugawa Japan
  Federico Marcon

Attitudes Toward Celestial Events in Tokugawa Japan
  Sugi Takeshi

Part XI: Epilogue

From Feudalism to Meritocracy?: Growing Demand for Competent and Efficient Government in the Late Tokugawa Period
  Matsuda Koichirō

Shōin and Changing Worldviews in the Late Tokugawa Period
  Kirihara Kenshin

The Shinsengumi: Shadows and Light in the Last Days of the Tokugawa Shogunate
  Kimura Yukihiko

Katsu Kaishū and Yokoi Shōnan: Late Tokugawa Imaginings of a More Democratic Japan
  William Steele

Confucian Education in the Formative Years of the Meiji Leaders and Its Modern Implications
  De-min Tao

2021年07月26日 (月)

今日のお題:吉永進一先生より『神智学と仏教』(法藏館、2021年7月)をご恵贈賜る

秘教研究にその人ありと呼ばれる吉永進一先生より、『神智学と仏教』(法藏館、2021年7月)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。

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神智学と仏教 - 法藏館 おすすめ仏教書専門出版と書店(東本願寺前)−仏教の風410年
https://pub.hozokan.co.jp/book/b583552.html

本書は、吉永先生のご単著として記念碑的な著作であり、今日の日を迎えられたことに幸いを覚える次第。

まず、タイトルが素晴らしい。

およそ「神智学」と「仏教」とをならべることは、1本の論文の次元ではできるかも知れませんが、これを一冊の本として構成しようとすれば、そこには深い深い知識の裏付けがないとできないことなのであります。

むろんこれまでも、神智学の側が「こちら」(≒仏教 or オリエント or アジア or 日本)側にやってきて、こんな面白いことをやってたんだよ、「宗教学」が確立する19世紀後半ってホントに恐ろしい時代だねぇ、といったお話しはあったと思います。

しかし本書の特筆すべきことは、そういう「こちら」目線――そもそも「こちら」っていう考え方自体おかしいのですが――だけではなく、先方――だからそういう書き方がそもそも……――の戦略と申しますか、神智学の側が何を目指して、どんな戦略で接近してきたのか、あるいは、こちらからあちらへどうアプローチして、世界展開しようとしていたのかという地球規模の視点からもキチンと議論しているところがポイントなのであり、深い学識に支えられたモノに他ならないのであります。

で、目次は以下のようになっています。

序章 似て非なる他者―近代仏教史における神智学―

第吃堯/醒匈悗領鮖
第1章 チベット行きのゆっくりした船―アメリカ秘教運動における「東洋」像―
第2章 近代日本における神智学思想の歴史
第3章 明治期日本の知識人と神智学

第局堯(教との交錯
第1章 仏教ネットワークの時代―明治二〇年代の伝道と交流―
第2章 オルコット去りし後―世紀の変わり目における神智学と狄景教徒瓠
第3章 平井金三、その生涯

第敬堯[鄒思想と近代日本
第1章 仏教雑誌のスウェーデンボルグ
第2章 大拙とスウェーデンボルグ―その歴史的背景―
第3章 らいてうの「天才」

終章 神智学と仏教、マクガヴァンとその周辺

解題 吉田久一から吉永進一へ(碧海寿広)

初出一覧
あとがき

……とまぁ、対象は古今東西、縦横無尽に渡ってらっしゃるわけで、ご本人はあとがきで「宗教学のニッチ産業」と仰っておられますが、むしろミッシング・リンクを接続するご研究であると言うべきかと思う次第。もとよりミッシング・リンクとは言え、決してピルトダウンのようなものではなく、丹念に歴史の地層を発掘し、その幽(かそけ)きピースを繋ぎ合わせた成果であることは言うまでもありません。

「そんな簡単に理路整然と日本の仏教(⊆宗教)が近代化したかのような物語を認めるわけにはいかない」と、堅く思っている方には是非ともお勧めであります。

2021年06月07日 (月)

今日のお題:西田彰一先生より、近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』(春秋社、2021年05月27日)をご恵贈賜る

西田彰一先生より、近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』(春秋社、2021年05月27日)をご恵贈賜る。いつもありがとうございます。

スクリーンショット 2021-06-07 154859.png
スクリーンショット 2021-06-07 154934.png

近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』春秋社、2021年05月27日
https://www.amazon.co.jp/s?k=9784393299647

さて、近代日本宗教史も4ということで、昭和前期を中心にいわゆる「戦前期」を取り上げております。なぜ「戦前」に括弧を付けるのかと申しますと、「戦前」の場合、明治国家の時代全体を指す場合もあるわけでして、

戦前期「外務省記録」|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/shozo/senzen_1.html

なかなかに難しい所ではございます。でもまぁ戦前というと、大体は昭和戦前期のことを指すようには思いますが、それ以降戦争がなかったことの幸いを改めて覚える次第。

さてそれはさておき、内容でございます。

【目次】

第1章 総論――総力戦体制下の新たな宗教性と宗教集団(島薗進)
 1 はじめに
 2 杉本五郎と『大義』
 3 皇道論、日本精神論の広がり
 4 信仰の抑圧・統制と神聖天皇崇敬の鼓吹
 5 国家神道と「神道的イデオロギー」の浸透
 6 本書の構成

第2章 思想と宗教の統制(植村和秀)
 1 近代国家と日本の宗教
 2 法・行政・政策の状況
 3 文部省の動向と宗教団体法
 4 内務省の動向と神社行政・治安維持法

コラム [鄒の詩学(若松英輔)

第3章 植民地における宗教政策と国家神道・日本仏教(川瀬貴也)
 1 はじめに
 2 日本の台湾統治と宗教政策の概要
 3 台湾における神道
 4 台湾における日本仏教
 5 朝鮮における宗教政策と植民地布教
 6 朝鮮における国家神道システムの内実
 7 植民地朝鮮における日朝仏教の葛藤
 8 おわりに

コラム◆‥傾諜ヾ慇發披克彦(西田彰一)

第4章 戦争協力と抵抗(大谷栄一)
 1 はじめに
 2 日中戦争と総動員体制
 3 中国大陸での宣撫と文化工作
 4 非戦・反戦論の展開
 5 おわりに

コラム 懺悔のラジオ講演者・永田秀次郎(坂本慎一)

第5章 昭和初期の新宗教とナショナリズム(對馬路人)
 1 はじめに
 2 ひとのみち教団と都市民向け生活規範の提供
 3 読書と瞑想の宗教・生長の家
 4 大本教と立替立直しのビジョン
 5 救世主・出口王仁三郎と救世プロジェクトの展開
 6 宗教弾圧の時代
 7 おわりに

コラムぁ々饌力澄丙野伸幸)

第6章 戦争・哲学・信仰(藤田正勝)
 1 時代の流れのなかで
 2 田辺元の哲学の展開
 3 「種の論理」の形成
 4 国家の問題
 5 懺悔
 6 懺悔と親鸞の信仰
 7 懺悔道としての哲学
 8 懺悔道の社会性

コラムァゞ畭紊瞭中仏教交流(エリック・シッケタンツ)

第7章 超国家主義と宗教(藤田大誠)
 1 はじめに
 2 「超国家主義」研究の展開とその問題点
 3 近代日本の「超国家(主義)」概念と宗教
 4 戦時下の「超国家(主義)」概念と宗教
 5 おわりに

コラムΑ(教の南方進出(大澤広嗣)

第8章 戦時下の生活と宗教(坂井久能)
 1 はじめに
 2 軍隊と神社――営内神社等の創建とその役割
 3 学校教育のなかの宗教
 4 戦没者の慰霊
 5 おわりに


まさに適材適所ともうしますか、この方にこれを書いていただくのがもっとも適切だというラインナップでございます。

で、全体を通して思いますのは、この時期における宗教体制の整備が、法的にも、教団的にも、非常に進んだという点であります。それは、総力戦なんだから当然だろうという単純なお話しではなく、なんとも隅々にまで行き渡っていたということが分かります。ある面では、政府の公的見解を越えて行き届いているわけですから、もはやどうにも止められない状況であったと申せます。

まぁ、実際の、『国体の本義』をどれほど熟読したところで、「本義」は分からないわけで、分からないからこそ解釈者が暴走するということになるのでしょうが、その暴走が、戦前以前(変な日本語だ)の言動と必ずしも一致しなかったりする辺りが非常に興味深いところ。

個人的には、「第3章 植民地における宗教政策と国家神道・日本仏教(川瀬貴也)」を面白く拝読した次第。日本の外に、「日本仏教」や「国家神道」を持っていこうとする時点で形容矛盾なわけですが、でもそこは法的に日本なので、やはり「日本仏教」や「国家神道」も機能しないといけないということになるから、話がややこしいことになります。

とはいえ、仏教は一応は普遍的性格を温存しているわけですので、まだやりやすかったとは思いますが――そのあたりは、「コラムΑ(教の南方進出(大澤広嗣)」または

大澤広嗣『戦時下の日本仏教と南方地域』(法藏館、2015年)
https://www.amazon.co.jp/s?k=978-4831855428

を参照してください――神道は、本当に難しかったと思います。とくに普遍性を捨てて、固有性に特化した論理を打ち立てた明治の国体論や神道には厳しかっただろうなぁと思います。会沢正志斎の国体論なら行けたかについては、現在思考実験中ではあります。

2021年04月26日 (月)

今日のお題:天野真志先生より『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』(吉川弘文館、2021年3月)をご恵贈賜る。

天野真志先生より『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』(吉川弘文館、2021年3月)をご恵贈賜る。まことにもって有難く、感謝申し上げます。

(2021)天野真志『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』吉川弘文館、2021年.png

幕末の学問・思想と政治運動 - 株式会社 吉川弘文館 安政4年(1857)創業、歴史学中心の人文書出版社
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b557736.html

幕末の学問・思想と政治運動: 気吹舎の学事と周旋 | 天野 真志 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4642043403

草莽の国学・草莽の国学と呼ばれ続けながら、幕末維新を経て、結局は津和野派に押し流されてしまう平田派と申しますか気吹舎門流が、現実政治においてどのような動きをなしたのかというのは、なかなかに見えてこないところでございます。と、申しますか、非常に地に足の付いた活動――つまり周旋というやつ――をしているがために、そう簡単には全容を見せてはくれないわけであります。

こちらのご本は、そうした幽(かそ)けき活動の跡を、それはそれは丹念に追いかけ、周旋を中心とした志士活動の空間を描き出したという点で、まことにもって貴重なモノとなっております。

まぁ、これを見ますと、なるほど秋田市のど真ん中に篤胤が祀られるわいな、と思ったり思わなかったり。あと、これだけ学問統合を目指していた熱い想いは、明治以降どうなるのかしらんと思うと、非常に寂しくなるのも確かでございます。

【目次】

序章 幕末の国事周旋と政治基盤
 1 本書の課題
 2 研究史の現状と課題
 3 分析視角と対象
 4 本書の構成

第吃 「周旋」をめぐる学問と情報
 第一章 秋田藩平田家の誕生と気吹舎
  はじめに
  1 平田篤胤と秋田藩
  2 気吹舎をとりまく環境
  おわりに
 第二章 気吹舎情報をめぐる諸関係
  はじめに
  1 気吹舎と政治情報
  2 共有される「秘密」
  3 秋田藩の情報活動と政治転化
  おわりに

第局 国事周旋の時代
 第一章 国事周旋と言路
  はじめに
  1 国事周旋と周旋方
  2 上京要求論の思惑
  3 活動要求としての言路
  おわりに
 第二章 内乱回避をめぐる「周旋」
  はじめに
  1 国政をめぐる諸藩の動向
  2 合従連衡の萌芽と禁門の変
  おわりに

第敬 国事と学事
 第一章 平田延胤著『馭戎論』の成立と学問統合
  はじめに
  1 『馭戎論』の成立
  2 『馭戎論』の流通をめぐる思惑
  3 「学問之苗字なし」と政治展望
  おわりに
 第二章 王政復古前後における秋田藩と気吹舎
  はじめに
  1 「復古」の政治過程
  2 「東北雄鎮」としての秋田藩
  おわりに
 終章 総括と課題

当方としては、平田延胤『馭戎論』のお話しは、まことにもって興味深く、彼らがどういう国家像・国際認識を持っていたのかというのを知ることができて大変有難いところであります。ただ、やはりですね、こういう政治的な文書は、そう簡単にオモテに出せなかっただろうなぁと思うわけで、その評価を難しくさせるところでもあります。

そこが、大国隆正のような一定の身分のある人間との発信力の違いなのかなぁと思ったりも致します。まぁ、隆正一流の国学と申しますのは、優れて水戸学と国学のハイブリッドを達成しておりまして、あの治者意識を維持した国学的思考というものこそ、近代国民国家にふさわしい国学のあり方であったとも申せますが、平田はそこまで行けなかったのか行かせてもらえなかったのかは判断の分かれるところかとは思います。

などと、当方の駄文は置きまして、まずは幕末思想史をやろうという方は、絶対にご一読戴きたい本であることは確かでございます。

2020年11月09日 (月)

今日のお題:伊達聖伸先生編著『ヨーロッパの世俗と宗教:近世から現代まで』(勁草書房、2020年10月)をご恵贈賜る。

伊達聖伸先生編著『ヨーロッパの世俗と宗教:近世から現代まで』(勁草書房、2020年10月)をご恵贈賜る。まことにありがとうございます。


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ヨーロッパの世俗と宗教 - 株式会社 勁草書房
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b535778.html

付札が「執筆者一同」のため、どなたから頂戴したのかが分かりませんが、いずれ己れの不義理の故かと痛み入る次第でございます。

さて本書の特筆すべき所は、やはり第一部の総論であろうかと。これほどまでに「ヨーロッパ」における「宗教」を広範かつ丁寧に叙述するのは、かなり難儀であったであろうと思う次第でございます。

ここで大事なのは、「キリスト教史」ではなく、「宗教史」だということですね。「宗教」というモノがいかに認識され――正確に言えば「宗教」と認識される対象がいかに確立したのか――、そしてそれがいかに変容していったのかというのを非常に多面的に描いているわけです。

で、これを一人の人間が出来ようはずもないので、合作となっているのですが、その分担は目次からは分かりませんので、序論を参考に復元してみますとこんな感じで近世から現代までの各地域が描かれることになっています。間違ってましたら申し訳ございません。とくに南欧の辺りは推測が入っております。しかし、西・独・英・仏を一気に描ききる伊達さんの筆力というのは、とんでもないものだなぁと思う所ではございます。

1−4 西・独・英・仏:スケッチ・伊達聖伸、加筆訂正・小川公代、木村護郎クリストフ
 5  南欧・伊:江川純一、葡:オリオン・クラウタウ
 6  東中欧・波:加藤久子
 7  南東欧・バルカン地域:立田由紀恵
 8  露:井上まどか

「日本の〈ヨーロッパ〉は狭すぎる!」(例の○天モバイル風にお読みください)

というのは、夙に思うところでございまして、このくらい揃って初めて「ヨーロッパ」という冠が許されるというもの。

むしろ江戸期のヨーロッパ叙述は、ローマ帝国から出発しているので、むしろ広いわけです。その辺りの日本人のヨーロッパ認識の変容というのもまた面白いところではございます。

おっと脱線。

で、もう一つ、本書のとても大事な、絶対に欠いてはいけない箇所は、「資料編」でございます。

資料編
 1.各国別宗教人口比と宗教人口比将来予想 →2020年現在と2050年(!)予想
 2.礼拝出席率
 3.政教関係
 4.公立校における宗教教育
 5.ヴェール禁止とニカブ・ブルカ禁止
 6.人工妊娠中絶と同性婚の合法化
 7.平均寿命と安楽死・医師幇助自殺

おそらく地域研究を専門になさっている方々には、各々の国や地域の宗教状況というのは常識の範囲内なのでしょうが、最新の情報をこれをヨーロッパというカテゴリで統合し、再配列して、さらに日本語にして下さったことには感謝しかございません。これであと十年は戦えます。いや、2050年予想を考えると30年でしょうか。

ということで、ヨーロッパ自体に関心があまりない方でも、宗教を考えたい方であれば、まずはポチッとして戴きたい。

ヨーロッパの世俗と宗教: 近世から現代まで | 聖伸, 伊達 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4326102861

【目次】

序論 本書の目的・特色・構成(伊達聖伸)

第吃堯〜輜澄\ぢの時代のヨーロッパにおける政教関係の構造と変容
(伊達聖伸、小川公代、木村護郎クリストフ、内村俊太、江川純一、オリオン・クラウタウ、加藤久子、立田由紀恵、井上まどか)

はじめに

第1章 近世─宗教改革から領域主権国家の確立と王権の強化まで(一六世紀〜一八世紀)
 一 スペイン─レコンキスタとカトリック的な王国の形成
 二 ドイツ─宗教改革から領邦教会制へ
 三 イギリス─国教会の成立から二つの革命へ
 四 フランス─宗教戦争から絶対王政へ
 五 南欧─教会国家再編のイタリア、王権強化のポルトガル
 六 東中欧─宗教改革の「先行性」と帝国的な「宗派化」のもとの寛容
 七 南東欧バルカン地域─オスマン帝国統治下の寛容と「イスラーム化
 八 ロシア─正教における帝権と教権、そして宗派化と帝国的な「寛容

第2章 近代─世俗的世界観の覇権の時代(一九世紀〜二〇世紀前半)
 一 フランス─「二つのフランスの争い」とライシテの確立
 二 スペイン─「二つのスペインの争い」か、カトリックの優位か
 三 イギリス─国教徒と非国教徒の作り出すダイナミズム
 四 ドイツ─政教分離の論理とプロテスタント的なナショナル・アイデンティティ
 五 南欧─「二つのイタリアの争い」、「二つのポルトガルの争い」
 六 東中欧─帝国(のはざま)の政治的・宗教的アイデンティティ
 七 南東欧バルカン地域─反西欧的な宗教的ナショナリズム
 八 ロシア─宗教的ロシアに対する二つの評価とソヴィエト体制下の政教分離

第3章 現代─宗教的なものの回帰と再構成(二〇世紀後半以降)
 一 スペイン─イスラームに寛容なカトリック的ライシテの国?
 二 ドイツ─「キリスト教優遇型」の存続か変化か
 三 イギリス─多様性の承認とブリティッシュネスの共有
 四 フランス─ライシテの試練
 五 南欧─カトリック優位の「宗教的多元主義」
 六 東中欧─社会主義体制下の無神論から冷戦後のカトリック復興へ
 七 南東欧バルカン地域─宗教とナショナリズムの結合と再活性化
 八 ロシア─自由と管理の独特の編成
 おわりに

第局堯ヽ届澄\ぢ的ヨーロッパにおける宗教的なものの輪郭

〈政教関係の自明性を揺さぶる〉

第1章 一六、一七世紀スペインにおける政教関係─複合君主政と国家教会化(内村俊太)
 はじめに
 一 地域国家の政体
 二 教会制度と国王教会保護権
 三 複合君主政の下での国家教会化
 おわりに

コラム:ポルトガルのカトリック教会と「独立」問題(西脇靖洋)

第2章 ポルトガルにおける権威主義体制の民主化とカトリック教会─リスボン総大司教アントニオ・リベイロの役割に注目して(西脇靖洋)
 はじめに
 一 権威主義体制の崩壊とカトリック教会
 二 暫定期におけるカトリック教会
 三 民主主義体制への移行とカトリック教会
 おわりに

コラム:歴史を見る際の「補助線」としての理論的枠組み(内村俊太)

〈教育のなかの宗教を問う〉

第3章 ヨーロッパの公教育制度におけるイスラーム教育導入のプロセスと論点(見原礼子)
 はじめに
 一 ヨーロッパの公的教育機関における宗教
 二 イスラーム教育導入のプロセスと論点
 おわりに─ムスリムにとってのイスラーム教育の意味

コラム:世俗化社会における宗教教育と共生(増田一夫)

第4章 国家の世俗性のゆくえ─ロシアの宗教教育を事例として(井上まどか)
 はじめに─ロシアにおける宗教復興と宗教教育
 一 一九九〇年代の方向転換─宗教文化教育への道のり
 二 「世俗性」原則をめぐって
 おわりに

コラム:多民族国家における宗教教育(見原礼子)

〈宗教が対立と和解に関与するとき〉

第5章 冷戦下での西ドイツ・ポーランドの和解に宗教はどう関与したのか(木村護郎クリストフ・加藤久子)
 はじめに
 一 ドイツの側から─プロテスタント教会の『覚書』による世論の喚起と代替言説の提示
 二 ポーランドの側から─カトリック司教団「声明」が残した葛藤と新たな自己理解
 おわりに

コラム:「オトナになろう」と背中を押してくれる存在(立田由紀恵)

第6章 スレブレニツァのモスクと教会─内戦後のボスニアにおける宗教と社会(立田由紀恵)
 はじめに─ボスニアにおける宗教、ナショナリズム、戦争
 一 スレブレニツァとは─歴史と現状
 二 スレブレニツァにおける宗教
 三 スレブレニツァの宗教指導者による融和への道の模索
 おわりに

コラム:スレブレニツァはヨーロッパの試験?(加藤久子)

〈宗教を信仰・実践・所属に分節化する〉

第7章 一九世紀イギリス文学の「世俗化」─エミリー・ブロンテの『嵐が丘』とスピリチュアリティ(小川公代)
 はじめに
 一 〈教会〉から離れても〈スピリチュアリティ〉はある
 二 メソディズムの感受性文化─国教会と非国教会のあいだ
 三 物質/身体と霊の融合
 おわりに

コラム:霊性の彷徨はどこに向かうのか(木村護郎クリストフ)

第8章 聖母巡礼地における所属と実践─メジュゴリエの事例(岡本亮輔)
 はじめに─「危険」な聖母出現
 一 メジュゴリエを取り巻く三つの対立
 二 ゴスパの政治的インパクト
 三 所属から実践へ
 おわりに

コラム:ヨーロッパ的現象としてのゴスパ出現(諸岡了介)

〈多様な生と(不)死の時代に〉

第9章 現代イギリスにおける宗教的多様性とホスピス(諸岡了介)
 はじめに
 一 問題の背景
 二 宗教的多様性に応じた取り組み
 三 チャプレン職の供給
 四 ホスピスの文化的基盤
 おわりに─将来の社会的課題

コラム:ホスピスケア、イギリスとロシアの共通点(井上まどか)

第10章 トランスヒューマニズムと「人新世」─科学技術時代の「信」のゆくえ(増田一夫)
 はじめに─自己の身体とその境界
 一 ディスラプションの時代
 二 トランスヒューマニズムの宗教性
 三 テクノロジーの形而上学vs自然の宗教
 おわりに─超越としての人間

コラム:「トランスヒューマニズム」の系譜をロマン主義運動まで辿る(小川公代)

資料編
 1.各国別宗教人口比と宗教人口比将来予想
 2.礼拝出席率
 3.政教関係
 4.公立校における宗教教育
 5.ヴェール禁止とニカブ・ブルカ禁止
 6.人工妊娠中絶と同性婚の合法化
 7.平均寿命と安楽死・医師幇助自殺

2020年10月28日 (水)

今日のお題:桐原健真「国体論の形成とその行方」、近代日本宗教史1『維新の衝撃:幕末〜明治前期』春秋社、2020年

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「国体」を象徴する教育勅語や御真影といったものは、戦前の日本において、神聖性をまとわせられつつ取り扱われた。学校火災に際して、校長がしばしばみずからの生命を投げ打って教育勅語の謄本や御真影を「奉護」したのは、まさにそうした神聖性のためであり、またそれゆえ、これらの痛ましい事件は、ときに「美談」としてすら語られたのである。その一方で、この神聖なる勅語謄本や御真影を粗略に扱うことは、極めて重い罪と認識され、しばしば激しい社会的制裁を加えられることとなった。

丸山真男が指摘したように、戦前の日本では、こうした勅語謄本や御真影をめぐる「おそるべき呪縛力」が存在していた。その「力」は、単に「精神的代用品」と切り捨てるには、あまりにも広く強かったようにみえる。

こうした「魔術的な力」を有した「国体」なるものがいかに生み出され、どのように認識されたのかを、その誕生の時期を中心に検討した。71-99頁。

[1]維新の衝撃 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393299616.html

目次
巻頭言

第一章 総論 ――近世から近代へ 末木文美士
  一 近代日本宗教史の困難と課題
  二 前近代の宗教と王権
  三 幕末・維新期の神道と国家
  四 幕末維新と仏教
  五 本巻の構成

第二章 天皇、神話、宗教 ――明治初期の宗教政策 ジョン・ブリーン
  一 はじめに
  二 近代天皇の宮中儀礼
  三 伊勢神宮の明治維新
  四 比叡山延暦寺と日吉社
  五 おわりに

――コラム 】靂餘親亜_田正彦

第三章 国体論の形成とその行方 桐原健真
  一 はじめに
  二 「魔術」としての「国体」
  三 尊攘志士と「国体」
  四 後期水戸学における神道の位相
  五 水戸学から国学へ
  六 おわりに

――コラム◆ー教と近代 小島毅

第四章 宗教が宗教になるとき ――啓蒙と宗教の近代 桂島宣弘
  一 近代宗教概念の登場
  二 岩倉使節団の経験
  三 森有礼の「信教自由」論
  四 religion以前の宗教の様態
  五 金光教の宗教化過程
  六 神道の非宗教化 ――神道「治教」論
  七 おわりに ――久米邦武の述懐

――コラム 妙好人像の変貌 岩田真美

第五章 近代神道の形成 三ツ松誠
  一 はじめに
  二 幕末国学と復古神道
  三 西川須賀雄と幕末佐賀
  四 王政復古と国学者
  五 教導職と国民教化の時代
  六 日本型政教分離の成立
  七 おわりに

――コラムぁ「狃と女性神職 小平美香

第六章 新宗教の誕生と教派神道 幡鎌一弘
  一 新宗教・民衆宗教・教派神道の位置付け
  二 近世後期の社会と宗教
  三 教派神道の成立
  四 おわりに

――コラムァ(書の近代化 万波寿子

第七章 胎動する近代仏教 近藤俊太郎
  一 はじめに ――島地黙雷と清沢満之の間
  二 宗教制度の近代的再編
  三 伝統教団の近代
  四 仏教改革運動
  五 おわりに

――コラムΑ‐土真宗の中国布教 陳継東

第八章 キリスト教をめぐるポリティクス 星野靖二
  一 はじめに
  二 キリスト教の政治的な取り扱いをめぐって
  三 キリスト教の展開をめぐって
  四 キリスト教の受容と解釈をめぐって
  五 キリスト教と仏教の交渉
  六 おわりに

2020年10月28日 (水)

今日のお題:桐原健真「金城学院大学「学校経営と学校図書館」(3年生対象)授業実践報告」、大嶋えり子・小泉勇人・茂木謙之介編『遠隔でつくる人文社会学知:2020 年前期の授業実践報告』雷音学術出版、2020年、70頁

大嶋えり子・小泉勇人・茂木謙之介編『遠隔でつくる人文社会学知:2020 年前期の授業実践報告』雷音学術出版、2020年
https://sites.google.com/view/lionpress/%E5%88%8A%E8%A1%8C%E6%9B%B8%E7%B1%8D?authuser=0

1.シラバス段階での講義の目的と概要、講義内容、成績評価の方法
2.大学から要請された遠隔のルールとそれに基づいて変更し実施した授業内容
3.学生の反応と今後の課題・可能性

の3節構成。

第2節については、ルールの策定側にも属していたので、その知見も含めて書きました。

というか、「学校経営と学校図書館」って、オマエの専門そこだっけ? と言われそうですが、一応書誌学風なこともやっているし、司書教諭資格も持っているのでこのようになった次第。

ほかの授業は、対面とかが入ってしまって、フルに遠隔だったのはこれだけなのです。

ちなみに、読売新聞と中日新聞(≒東京新聞)の一面比較を毎回させました。なかなかにこれが面白い。このコロナコロナしている中で、なぜソレが一面トップじゃなければならないの? ということが続発。リテラシーって大事ですね。

2020年10月26日 (月)

今日のお題:岩田文昭・碧海寿広両先生より『知っておきたい 日本の宗教』(ミネルヴァ書房、2020年10月)をご恵贈賜る。

岩田文昭・碧海寿広両先生より『知っておきたい 日本の宗教』(ミネルヴァ書房、2020年10月)をご恵贈賜る。まことにもって有難く存じます。
2020年10月26日_知っておきたい 日本の宗教.jpg
アマゾンではまだ売ってませんが、絶賛予約中でございます。

知っておきたい日本の宗教 | 岩田文昭, 碧海寿広 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4623090000/

目次をご覧戴ければ、誰でも興味関心を覚えそうなものが美事にならんでおります。どこか心の琴線に引っかかった方は是非お買い求め戴きたいところ。とくに幅広く日本文化をやっている方にお勧めしたい。

ミネルヴァの目次には筆者がないので(本書自体の目次にもないので、ここは非常に残念なところです)、

知っておきたい 日本の宗教 - ミネルヴァ書房
https://www.minervashobo.co.jp/book/b516273.html

当方で勝手に付けました。

著者一覧を拝見するに編者お二人はもとより、皆さん各々の分野で様々にご活躍されている方ばかりでございます。また、ほとんどが2010年以降に学位を取得された方でして、

「ああなるほど、こうやって中年研究者は己れの不明に思いを致すのだなぁ」

と思った次第。

【目次】

はじめに(碧海寿広)

序 章 日本人は無宗教なのか(岩田文昭)
 1 日本人は無宗教か
 2 なぜ日本人は自分を無宗教だと思うのか
 3 明治維新以降の「宗教」の捉え方
 4 宗教について学ぶ意義

第1章 京都の宗教施設を外国人に案内しよう(菊池暁)
 1 伏見稲荷大社:自然信仰
 2 清水寺:現世利益
 3 本願寺:伝統仏教と近代化
 4 町なかの神仏:市井に生きる宗教

第2章 東京の宗教施設を外国人に案内しよう(平藤喜久子)
 1 明治神宮:近代の神社
 2 神田神社:江戸と現代の“聖地”
 3 浅草寺:神仏分離
 4 七福神巡り:民間信仰

第3章 日本人は岩や山を拝んでいるのか(大道晴香)
 1 神霊が宿るモノ
 2 神霊がいる場所
 3 自然観とのかかわり
 4 現代の自然への信仰

第4章 日本にはどんな聖地や巡礼があるのか(岡本亮輔)
 1 四国遍路
 2 現代の聖地巡礼
 3 世界遺産を歩く
 4 信仰なき時代の聖地巡礼

第5章 正月やお盆の行事とはなんなのか(岡本亮輔)
 1 正月とお盆の行事
 2 年中行事は宗教なのか
 3 インフラが作った実践
 4 信仰なき実践

第6章 日本の祭りや儀式とは(鶴真一)
 1 さまざまな祭り
 2 祭りの機能
 3 通過儀礼
 4 祭りの変化

第7章 日本人の休日とは(岩田文昭)
 1 祝祭日
 2 紀年法
 3 なぜ日曜日が休みなのか
 4 元号・六曜

第8章 日本では終活が盛んときいたが(問芝志保)
 1 終活とはなにか
 2 終活ブームの担い手
 3 エンディングビジネスの成長
 4 終活と宗教のこれから

第9章 日本の墓とはどんなものか(問芝志保)
 1 お盆は家族で墓参り
 2 さまざまな世界の墓
 3 日本の家墓
 4 日本が抱える墓問題

第10章 日本の政治と宗教の関係はどうか(高尾賢一郎)
 1 近代における政治と宗教
 2 西洋の政教分離
 3 イスラームは政教分離か
 4 日本の事例を考える

第11章 学校に「宗教」の時間はないのか(岩田文昭)
 1 政教分離の下での宗教教育
 2 宗教教育の類型
 3 畏敬の念と宗教的情操
 4 外国の宗教教育

第12章 日本人は戦死者をどのように追悼してきたのか(赤江達也)
 1 靖国神社とはなにか
 2 戦後の靖国問題
 3 政教分離の問題
 4 海外の事例とこれから

第13章 天皇制とはなにか(永岡崇)
 1 天皇の祭り
 2 「現人神」の時代
 3 天皇と神と仏
 4 象徴天皇制の宗教性

第14章 新宗教とはなにか(永岡崇)
 1 現代日本の宗教アレルギー
 2 庶民の宗教
 3 生命主義的救済観
 4 新宗教は今?

第15章 日本の大学に危険な宗教サークルはあるのか(永岡崇)
 1 危険な宗教はどれですか?
 2 「カルト」とはなにか
 3 「洗脳」再考
 4 「カルト」と私たち

第16章 キリスト教はどのように受容されているのか(赤江達也)
 1 キリスト教はどんな宗教か
 2 日本におけるキリスト教
 3 近世社会とキリシタン
 4 近代日本のキリスト教

第17章 イスラム教徒用のレストランはあるのか(碧海寿広)
 1 食と宗教
 2 イスラームの場合
 3 食と日本人
 4 グローバル化と食文化

第18章 日本の宗教は苦しむ人をたすけているか(葛西賢太)
 1 傾聴する宗教者
 2 刑務所で話を聞く教誨師
 3 緩和ケアを支援する宗教者
 4 なにを聞くのか、役に立つのか

第19章 坐禅する外国人が多いのか(末村正代)
 1 伝統宗派としての禅宗
 2 禅宗から禅思想へ
 3 禅からZenへ
 4 禅と日本文化の関係

第20章 日本人はどんな瞑想をしているのか(葛西賢太)
 1 習い事をモデルにした「朝活禅」
 2 内観という自己理解の方法
 3 マインドフルネスと医療
 4 変性意識状態としての瞑想

第21章 なぜオカルトブームが起こるのか(大道晴香)
 1 オカルトとはなにか
 2 戦後日本のオカルトブーム
 3 ブームの社会背景
 4 オカルトブームの終焉

第22章 日本の神話や物語にはどんなものがあるか(大澤絢子)
 1 日本の神話はどう読まれてきたか
 2 古典文学のなかの仏教
 3 近代の文学と宗教
 4 宗教とメディア

第23章 東アジアとの関係はどうか(川瀬貴也)
 1 大陸からの宗教の伝来
 2 台湾・中国の宗教状況
 3 韓国の宗教状況
 4 韓国のキリスト教

第24章 日本の僧侶は結婚しているのか(碧海寿広)
 1 日本仏教の特異性
 2 仏教の日本化
 3 戒律と日本の僧侶
 4 日本仏教を評価する

第25章 女人禁制とはなにか(碧海寿広)
 1 女性は土俵に上がれない?
 2 宗教と男女差別
 3 男女平等をめざして
 4 宗教と女性のゆくえ

第26章 水子供養とはなにか(鶴真一)
 1 亡くなった子のために
 2 中絶の歴史
 3 水子供養のブーム
 4 中絶に対する考え方の違い

第27章 クローン人間をつくっていいのか(鶴真一)
 1 いのちを「つくる」
 2 いのちを「つくり変える」
 3 宗教と生命倫理
 4 いのちの未来

第28章 人は縄文時代のなにに惹かれるのか(岩田文昭)
 1 縄文時代の人気
 2 枢軸の時代と宗教の進化
 3 新霊性運動・文化
 4 宗教と自己形成

おわりに
参考文献
索 引
執筆者紹介


最後に「縄文」が来ているのが、非常に効いています。これはみんな不思議に思いながら、なかなか客観視・言語化できないところで、勉強になります。

「なるほど、なるほど、この方にはこういう引き出しもあるのか」などと思いながら拝読するのも、それはそれで乙かと。

2020年09月23日 (水)

今日のお題:近藤俊太郎先生より『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館、2020年9月)をご恵贈賜る。

近藤俊太郎先生より『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館、2020年9月)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。

普通であれば、今度の日本近代仏教研究会において、確実に懇親会か二次会の肴になったであろうと思うと、このコロナ騒動を恨めしく思うわけであります。

近代の仏教思想と日本主義 | 石井 公成, 近藤 俊太郎, 名和 達宣 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/483185560X/


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なんとまぁ、荘重なカバーだろうと思うのですが、こちらは、真宗大谷派の出陣学徒壮行式をベースに用いているそうでございます。

【目次】
仏教思想と日本主義への入射角:序にかえて (近藤俊太郎)
【総論】日本主義と仏教 (石井公成)

第吃堯/二臓聖徳太子
真宗大谷派の教学と日本主義:曽我量深を基点として (名和達宣)
真宗本願寺派の教学と日本主義:梅原真隆を通して (内手弘太)
聖徳太子と日本主義:金子大榮を中心に (東 真行)
『原理日本』と聖徳太子:井上右近・黒上正一郎・蓑田胸喜を中心に (中島岳志)
民族主義の体系と形式:三井甲之とその門弟 (藤井祐介)

第局堯‘蓮・禅
日蓮主義と日本主義:田中智学における「日本による世界統一」というビジョンをめぐって(ユリア・ブレニナ)
日蓮主義と日本主義との衝突:日中戦争期における東亜連盟運動 (クリントン・ゴダール)
鈴木大拙『日本的霊性』再考:仏教を超える新「日本宗教」 (ステファン・グレイス)
臨済宗と「日本精神」:関精拙、古川堯道を中心に (大竹 晋)
禅・華厳と日本主義:市川白弦と紀平正美の比較分析を通じて (飯島孝良)

第敬堯ゞ詰棔修養・転向
本居宣長と日本主義:暁烏敏による思想解釈を通して (齋藤公太)
日本回帰の思想構造:亀井勝一郎の場合 (碧海寿広)
吉川英治と日本主義:修養する武蔵と親鸞 (大澤絢子)
日本主義の主体性と抗争:原理日本社・京都学派・日本神話派 (栗田英彦)
親鸞とマルクス主義:佐野学の思想経験を中心に (近藤俊太郎)

まとめと展望 (近藤俊太郎・名和達宣)
あとがき:課題としてのX (名和達宣)
執筆者紹介

「日本主義」と申しますのはよほど難しいものでございまして、正直、何を指しているのかが判然としない。「日本旨義」(by 志賀重昂)なんて、ヒトを戸惑わせることしか考えていないような発言をする人間もいるわけでありますから、なおさらであります。

無論、編者は、「本論集では、、日本主義の概念規定を必ずしも重視していない」(vi頁)と仰るのですから、そこにこだわってはいけないわけであります。と、もうしますか、そこにこだわるような思想研究・言説研究はもう要らないんじゃないのかと思う次第。

一昔前は、「キミの使っている○○主義ということばの意味がおかしい」とかいう「そもそも論」で結構お茶を濁すことが多かったように思いますが、「いやそれって、所詮定義じゃん、パラダイムシフトだよキミぃ」という話になって、「ソコジャナイ」感が共有されるようになっているかと思います。

同じようなお話しは、「国体論」においても同様でして、ホントに千差万別、色々な国体が存在しているのですが、これを何か枠をはめて議論しようとした時点で、とんでもないことになるというのは、先学の教えるところでございます。ありがとうございます、昆野さん

当方の関心としては、仏教という日本に由来しない教説を、日本の枠のなかで語ろうとするというときに、どういう方法が用いられるのかというところであります。井上円了みたいに、吹っ飛んでしっまうというのは、みていてすがすがしいのですが、なかなかそうは参りませんで、皆さん様々に苦労を重ねてらっしゃる様子がうかがえて、非常に興味深いところではございます。

2020年09月23日 (水)

今日のお題:木村昌人先生より『渋沢栄一:日本のインフラを創った民間経済の巨人』(ちくま新書、2020年9月)をご恵贈賜る

木村昌人先生より『渋沢栄一:日本のインフラを創った民間経済の巨人』(ちくま新書、2020年9月)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。昨年のドイツ行以来、ご無沙汰致しており恐縮です。

渋沢栄一 ――日本のインフラを創った民間経済の巨人 (ちくま新書) | 昌人, 木村 |本 | 通販 | Amazon

https://www.amazon.co.jp/s?k=4480073183

木村先生には、すでに

『渋沢栄一―民間経済外交の創始者」(中公新書、1991年)

というご本があり、こちらがどちらかと申しますと、後半生を描いたものであるのに対し、今回のものは、渋沢の一生涯を描き出したものとなっているわけで、その意味でも渋沢の全体像を知るには最適の書であると申せます。


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【目次】
第1章 義憤と挫折を超えて
第2章 日本社会の基盤を整備する
第3章 合本主義とは何か
第4章 ヨーロッパ重視から米国重視へ
第5章 世界と日本の新たな姿を模索して
第6章 人生晩晴を貴ぶ

やはり、個人的には、第1章は、幕末風雲編的に興味のあるところであり、改めて「なんでこのヒト生き残ったんだろうねぇ」「っていうか、フランス行って変わりすぎ」という所が非常に面白い。髷とか切っちゃう下りは秀逸であります。

髷を落とした写真に対して、奥さんが文句を言う手紙を送ったりしているのも非常に興味深い。ぜひ、岩倉具視に教えてあげればよかったのにと思ったり思わなかったり。

あと、4章ですね。米国との関わりを民間外交のレベルで論じたあたりは、木村先生の長年の蓄積が踏まえられていて、日米関係史をやりたいヒトはまずみておいて損はないはず。

むかし、自分で災害復興をめぐる日米関係と渋沢みたいなお話しをやったときに、木村先生の研究には、随分お世話になったなぁと懐かしく思い出すわけですが、そうですか、プリンストンでご一緒したのは、もう15年近く前ですか、そうですかそうですか。

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