今日のお題:桐原健真「国体論の形成とその行方」、近代日本宗教史1『維新の衝撃:幕末〜明治前期』春秋社、2020年


「国体」を象徴する教育勅語や御真影といったものは、戦前の日本において、神聖性をまとわせられつつ取り扱われた。学校火災に際して、校長がしばしばみずからの生命を投げ打って教育勅語の謄本や御真影を「奉護」したのは、まさにそうした神聖性のためであり、またそれゆえ、これらの痛ましい事件は、ときに「美談」としてすら語られたのである。その一方で、この神聖なる勅語謄本や御真影を粗略に扱うことは、極めて重い罪と認識され、しばしば激しい社会的制裁を加えられることとなった。
丸山真男が指摘したように、戦前の日本では、こうした勅語謄本や御真影をめぐる「おそるべき呪縛力」が存在していた。その「力」は、単に「精神的代用品」と切り捨てるには、あまりにも広く強かったようにみえる。
こうした「魔術的な力」を有した「国体」なるものがいかに生み出され、どのように認識されたのかを、その誕生の時期を中心に検討した。71-99頁。
[1]維新の衝撃 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393299616.html
目次
巻頭言
第一章 総論 ――近世から近代へ 末木文美士
一 近代日本宗教史の困難と課題
二 前近代の宗教と王権
三 幕末・維新期の神道と国家
四 幕末維新と仏教
五 本巻の構成
第二章 天皇、神話、宗教 ――明治初期の宗教政策 ジョン・ブリーン
一 はじめに
二 近代天皇の宮中儀礼
三 伊勢神宮の明治維新
四 比叡山延暦寺と日吉社
五 おわりに
――コラム� 】靂餘親亜_�田正彦
第三章 国体論の形成とその行方 桐原健真
一 はじめに
二 「魔術」としての「国体」
三 尊攘志士と「国体」
四 後期水戸学における神道の位相
五 水戸学から国学へ
六 おわりに
――コラム�◆ー�教と近代 小島毅
第四章 宗教が宗教になるとき ――啓蒙と宗教の近代 桂島宣弘
一 近代宗教概念の登場
二 岩倉使節団の経験
三 森有礼の「信教自由」論
四 religion以前の宗教の様態
五 金光教の宗教化過程
六 神道の非宗教化 ――神道「治教」論
七 おわりに ――久米邦武の述懐
――コラム�� 妙好人像の変貌 岩田真美
第五章 近代神道の形成 三ツ松誠
一 はじめに
二 幕末国学と復古神道
三 西川須賀雄と幕末佐賀
四 王政復古と国学者
五 教導職と国民教化の時代
六 日本型政教分離の成立
七 おわりに
――コラム�ぁ「狃�と女性神職 小平美香
第六章 新宗教の誕生と教派神道 幡鎌一弘
一 新宗教・民衆宗教・教派神道の位置付け
二 近世後期の社会と宗教
三 教派神道の成立
四 おわりに
――コラム�ァ(�書の近代化 万波寿子
第七章 胎動する近代仏教 近藤俊太郎
一 はじめに ――島地黙雷と清沢満之の間
二 宗教制度の近代的再編
三 伝統教団の近代
四 仏教改革運動
五 おわりに
――コラム�Α‐�土真宗の中国布教 陳継東
第八章 キリスト教をめぐるポリティクス 星野靖二
一 はじめに
二 キリスト教の政治的な取り扱いをめぐって
三 キリスト教の展開をめぐって
四 キリスト教の受容と解釈をめぐって
五 キリスト教と仏教の交渉
六 おわりに
