2024年05月27日 (月)

今日のお題:漢文訓点用マクロ「訓点」for MS-WORD

※AIさまのご指導を仰いでマクロの全面的見直しを行いました(2024年05月27日記)。

※ちょっと直しました。上中下点が up/middle/down ってのはどうだ、というご指摘をうけて、j/t/g にしました。中点はcの方が良いのかも知れませんが、ひとまずこれで(2016年03月13日記)。と、いうか、16年前の自分は随分とひねてたんだなぁと思ったり思わなかったり。

※MS-Word2010ではインストール出来ないとのご連絡を戴きました。直接マクロをコピペして戴ければと存じます。(2010年07月10日記)と、いうか10年も経ってしまったのだなぁと今更ながら思ったり思わなかったり。

このマクロは訓点を付けてくれます。むろん、手放しという訳じゃあありませんが。
1)訓点を付けたい部分に以下の半角英数記号を入力します。
r:雁点(レ点)
1:一点
2:二点
3:三点
j:上点
t:中点
g:下点
k:甲点
o:乙点
h:丙点
2)訓点マクロを作動。以上のフォントのすべてが下付フォントになりますので、縦書きにしたときに左肩に訓点が入ります。

kunten.gif

マクロのダウンロード

2022年04月07日 (木)

今日のお題:引野亨輔先生より、『近世日記の世界』(ミネルヴァ書房、2022年03月)をご恵贈戴く。

引野亨輔先生より、史料で読み解く日本史4『近世日記の世界』(ミネルヴァ書房、2022年)をご恵贈戴く。いつもいつもありがとうございます。

2022年04月07日_近世日記の世界.png
2022年04月07日_近世日記の世界(帯).png

近世日記の世界 (史料で読み解く日本史 4) | 福田千鶴, 藤實久美子 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4623093697

日記と申しますと、それは全き個人のものであり、人によっては、とんでもなく黒歴史をまとったものであったりするわけであります。

しかしながらそういう日記の有り様と申しますのは、個人というものが確立してからのお話でございまして、近代以前におきましては、他の人に見せることを前提として書かれていたりするわけです。そうでなければ日記文学というのが一体どうして成立するのかが分からないと申せます。

むろん文学に限らず、自分の家の子々孫々が、有職故実のために書き残した日記なんてものもあるわけで、そういうものをしっかりと保存しているお宅が、社会的な地位を得た次第。

日記の家―中世国家の記録組織 | 松薗 斉 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4642027572

やはり、データは力なのであります――などと自分の領域に引き入れたりしてしまうわけですが、とにかく近世日記研究の方法についてここまで色々な専門の方が集まって検討したというのが、本書のとても大事な所でございます。

それにくわえて必見なのが、巻末付録の「近世主要日記一覧」でございます。全部で677件。注記によれば、これは活字化されているものが中心なのだそうですが、それにしても圧巻であります。

しかも、さらに末恐ろしいことが書いております。
「なお、幕末に関しては別に企画予定があるため、網羅していない」

まだまだ続きがあるのだそうでございます。幕末は幕末でとんでもないことになりそうだなぁと、遠い目をしてしまう次第。

吉田松陰も日記はよく書きましたが、どっちかというと旅日記が多かった感じですね。あとは読書日記。

個人的に大好きな箇所は、『東北遊日記』の1852(嘉永5)年1月17日条でございます。

十七日 晴。会沢を訪ふ。会沢を訪ふこと数次なるに率ね酒を設く。水府の風、他邦の人に接するに款待甚だ渥く、歓然として欣びを交へ、心胸を吐露して隠匿する所なし。会々談論の聴くべきものあれば、必ず筆を把りて之れを記す。是れ其の天下の事に通じ、天下の力を得る所以か。


一ヶ月ほどの水戸滞在で、会沢正志斎を訪ねるたびに酒が出てくるというお話しは、なるほど水戸ならそうなるわな、と非常に納得するところでございます。

松陰は下戸でございましたから、よほど困ったことでございましょう。彼がどのくらい酒に弱かったかと申しますと、酒を振る舞われ頬が赤くなってみんなに笑われて、
「吾が頬は桜色にぞなりにけり春来にけりと人や見るらん」

と狂歌を読んでしまうくらい弱いのです。

ちなみにこれは、安政の大獄のために江戸伝馬町に送られたときの歌でして、獄中でなにをやってるんだろうなぁという感じではあります。

ちなみに、さきほどの「水府の風、他邦の人に接するに款待甚だ渥く、歓然として欣びを交へ、心胸を吐露して隠匿する所なし」と言われますとのは、さて、そんなに水戸の人間は立派だったかなぁと、800年くらい前から常陸国在住であった家の子は思うのであります。

桐原左衛門さん
https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/bunkazai/kuni/tyokoku/3-15/3-15.html

 【目次】

はしがき(藤實久美子)

序 章 近世日記の世界を読み解く(福田千鶴)
 1 近世日記研究の現状と課題 
 2 近世日記の特質 
 3 本書の構成 
コラム1 近世人と日記――鈴木平九郎重固の決意(福田千鶴)

  第一編 公と私の日記の展開  
〈扉裏:冊子型史料の形態分類図(藤實久美子)〉

 第�吃堯〇籠�記の伝統と公日記の復活

解  説(藤實久美子)

第一章 近世朝廷の日記の世界――伝統と新展開(村 和明)
 1 朝廷関係の日記の概要
 2 筆記者の家に蓄積する日記
 3 筆記者の主家・勤務先に蓄積する日記
 4 管理・複製・罹災

第二章 『濱島家日記』――地下官人の日記(西村慎太郎)
 1 内膳司濱島家と日記
 2 内膳司濱島家日記の内容
 3 他の地下官人の日記
 4 感情をあらわす奉膳濱島清平
 5 地下官人の日記の特質

コラム2 門跡・門跡寺院の日記(西村慎太郎)

第三章 年預記録――北野天満宮を支えた社僧の職務日記(石津裕之)
 1 日記の背景
 2 日記の形式
 3 日記の内容

第四章 『伊居太神社日記』――摂津国豊島郡池田村穴織社家の日記(井上智勝)
 1 『伊居太神社日記』について
 2 記主と内容
 3 性格と特質

第五章 『あたりまかせ』――近世在村僧侶の日常世界(引野亨輔)
 1 近世僧侶身分概観
 2 安芸国賀茂郡川尻村光明寺と『あたりまかせ』
 3 執筆動機から探る『あたりまかせ』の特徴
 4 地方有力寺院の法務実態
 5 死を記録し、実感する在村僧侶

 第�局堯)詆榮�記の諸相

解  説(福田千鶴)

第六章 『本光国師日記』――幕府に仕えた禅僧の記録(林 晃弘)
 1 以心崇伝と金地院の記録類
 2 『本光国師日記』の史料的性格
 3 成立期の幕府政治と『本光国師日記』
 4 『本光国師日記』の再発見

第七章 江戸幕府日記――日記方の表右筆と日記掛(山本英貴)
 1 「江戸幕府日記」について――国立公文書館所蔵本を中心に
 2 江戸幕府日記の作成と大目付・目付
 3 江戸幕府日記の複製作成
 4 江戸幕府日記の作成と日記掛

コラム3 大奥における日記(福田千鶴)

第八章 大坂在番日記――大坂城代・定番・大番・加番が作成した日記(宮本裕次)
 1 「徳川大坂城」で作られた在番日記
 2 幕府情報の伝達と共有
 3 寛文長崎大火と大坂城代
 4 大坂城天守の焼失
 5 徳川政権の特質を問い直す

 第�敬堯“容�記の諸相

解  説(福田千鶴)

第九章 高田藩榊原家の「藩日記」――複製される日記(花岡公貴)
 1 大名榊原家とその史料群
 2 膨大な「藩日記」
 3 複製される「藩日記」

コラム4 『楽只堂年録』――焼失からの再編(越坂裕太)

第十章 鳥取藩の藩庁日記の成立と展開(来見田博基)
 1 鳥取藩の藩庁日記の概要
 2 「控帳」の成立過程
 3 藩主親政の開始と「万留帳」
 4 藩庁日記の管理

コラム5 藩の「日記」史料とデータベース(伊藤昭弘)

第十一章 東北諸藩の日記――盛岡藩「雑書」と守山藩「守山御日記」の特徴(兼平賢治)
 1 東北諸藩の日記と年譜
 2 日記類を活用した編纂事業――「国典類抄」と「守山御日記」
 3 盛岡藩家老席日記「雑書」と藩政の推移

第十二章 伊達家奥方日記――広敷向で編纂された藩主正妻の日記(柳谷慶子)
 1 「伊達家奥方日記」の編纂と奥方広敷向
 2 日記の特徴と機能
 3 日記に見る奥女中と広敷向役人の協業

第十三章 長崎・勤番日記――石火矢役・井上信元が記録した意味(松尾晋一)
 1 記主井上信元
 2 黒田家による長崎御番と記録
 3 井上信元が記した日記
 4 井上信元の私日記
 5 井上信元が情報を記録化した意義

  第二編 広がる近世日記の世界  
〈扉裏:冊子型史料の製本方法と呼称――竪帳を事例に(藤實久美子)〉

 第�孤堯‖人猷修垢詁�記の目的

解  説(福田千鶴)

第十四章 『大和守日記』――芸能と大名(武井協三)
 1 発見の経緯と現存諸本
 2 『大和守日記』に見える演劇上演記事

第十五章 松平容敬日記――一九世紀の大名の生活と政治行動(荒木裕行)
 1 容敬の生涯と日記の概略
 2 日記から大名の日常生活の実態を知る
 3 日記から一九世紀幕府政治史を読み解く

第十六章 仙台藩士玉虫十蔵「記録」――天明の飢饉後の復興に立ち向かう武士(モリス、J.F. )
 1 玉虫十蔵尚茂の紹介
 2 玉虫十蔵日記の史料学的検討
 3 玉虫十蔵「記録」を読む

コラム6 日記と天気(武井弘一)

第十七章 名古屋商人内田蘭渚の日記――本居宣長門人・木村蒹葭堂との交友(岸野俊彦)
 1 名古屋商人内田蘭渚の「日記」史料
 2 名古屋周辺での文化交流
 3 木村蒹葭堂との交友
 4 蒹葭堂蔵『介翁茶史』の名古屋出版
 5 内田蘭渚「日記」の魅力

第十八章 『井関隆子日記』――旗本家の女性が残した日記(野口朋隆)
 1 『井関隆子日記』の書誌情報
 2 旗本家の隠居井関隆子
 3 隆子による『日記』執筆

第十九章 夫婦の日記――広島藩儒者頼春水と妻梅颸が綴る生活記録(高野信治)
 1 夫婦の日記
 2 二人の役割
 3 日記を比べる
 4 ひそむ思い

 第�紘堯‖人猷修垢覽�主と記載内容

解  説(藤實久美子)

第二十章 町方の日記――感情記載に注目した紹介(渡辺浩一)
 1 信濃国松代町年寄日記――家の最も重要な公職の日記
 2 飛騨国高山町会所日記――公的な組織の日記
 3 江戸金吹町播磨屋中井家日記――民間組織の日記
 4 江戸雉子町斎藤月岑日記――個人の日記
 5 出雲国松江太助日記――感情記載豊富な日記
 6 日記を読む眼差し

第二十一章 『日記』、『日記帳』、『御用書類留』――在町商人が記録した日々(山本太郎)
 1 備中国窪屋郡倉敷村大橋家
 2 大橋家の日記類
 3 嘉永三年六月の大水害の記録の比較

第二十二章 中井源左衛門光基の日記――「諸事日下恵」と「要用記」(青柳周一)
 1 一九世紀の「近江商人」の日記
 2 創出される日記――「日野要用記」から「初下り諸事手扣」へ
 3 出店と飢饉の日記――経営の転換期に直面して
 4 光基、筆を擱く

コラム7 日記の世界と年代記の世界(江藤彰彦)

第二十三章 「御山方御用幷諸事日記」の成立過程――尾張藩「御山守」の職域拡大と記録・日記類の変遷(太田尚宏)
 1 内木彦七武久の「御山方御用幷諸事日記」
 2 諸事覚書・御用留・御用日記
 3 「御山方御用幷諸事日記」の成立

コラム8 六角家文書の大庄屋日記(梶嶋政司)

第二十四章 「初登江都日記」と「国枝外右馬江戸詰中日記」――江戸勤番武士の日記を読む(岩淵令治)
 1 江戸勤番武士の日記 
 2 江戸勤番武士の実像――「初登江都日記」を中心に 
 3 江戸勤番武士の心性・感情 

終 章 日記と歴史書編纂(藤實久美子)
 1 日記の四類型とその細分類
 2 日記と編纂物
 3 歴史書編纂と日記(1)――一七世紀まで
 4 歴史書編纂と日記(2)――第一段階・一八世紀中ごろ
 5 歴史書編纂と日記(3)――第二段階(幕府の場合)

巻末付録 近世主要日記一覧
あとがき 福田千鶴
索  引
執筆者紹介

2022年04月05日 (火)

今日のお題:大澤広嗣先生より『日本と東南アジアの仏教交流:その史実と展望』(三人社、2022年)をご恵贈戴く。

大澤広嗣先生より林行夫編『日本と東南アジアの仏教交流:その史実と展望』(三人社、2022年)をご恵贈いただきました。まことにもって有難いことです。
林行夫編『日本と東南アジアの仏教交流:その史実と展望』(三人社、2022年).png

目次
仏教交流の実相への視座(村上忠良)
日本とミャンマーの仏教交流:『入竺比丘尼』に見るネイションとジェンダー(伊東利勝)
仏教学者の上田天瑞と陸軍中将の牟田口廉也:インパール作戦の開始前後における会見(大澤広嗣)
明治期日本人僧侶の暹羅布教(中西直樹)
仏教経典をめぐる日タイ交流の史実と現実(清水洋平)
タイ仏教と日本仏教は対話できるか?」タイ仏教への掛け橋になる(神田英昭)
石井米雄と日タイ仏教交流(林行夫)
仏教の交流、比丘サンガの交流(藤本晃)

林行夫編『日本と東南アジアの仏教交流:その史実と展望』三人社、2022年
https://www.amazon.co.jp/dp/4866913754

日本と東南アジアと仏教というと、まぁつながりはあるかも知れないけど、仏教の系統が違うんでしょ? という印象をお持ちの方もおられるかと思います。

しかしながら、近代日本は、さまざまな形で、それこそ文化のみならず、経済・政治・軍事といった形で、東南アジアと関わりがあったわけでして、ある意味戦前の方が、世界的視野のある動きをしていたと申せます。まぁ、それが背伸びのしすぎだったのかは、評価の分かれるところとは思いますが。

ちなみに名古屋には、日泰寺(にったいじ)というお寺さんがございまして、こちらの山号は覚王山と申します。覚王とは、悟り(覚り)を得た王さまつまりは、お釈迦様のことでして、ここにはその遺骨ともうしますか、いわゆる仏舎利が収められております。

この仏舎利は、タイ国王から拝領したものでございまして、ですので、日泰寺(日本―泰(タイ)の寺)と言うわけです。なお創建時は日暹寺(にっせんじ)でした。当時、タイは暹羅(シャム)と呼ばれていましたので。

タイからわざわざ仏舎利がやってくる――そのことだけでもかなり興味深いところでございます。このあたりのことについて、そのむかし、ジャフィ先生のご論攷を、オリオン氏と一緒に翻訳したことがあるのですが、あのときは、まさか自分がその名古屋にやってきて、日泰寺を見ることができるとは思わなかったですよ。世の中分からないものです。

2021年08月05日 (木)

今日のお題:

以前からお話しは伺っていたのですが、ついに出ました。

The Tokugawa World - 1st Edition - Gary P. Leupp - De-min Tao - Rout
https://www.routledge.com/The-Tokugawa-World/Leupp-Tao/p/book/9781138936850



ホントは2019年に出るとかいっていたのですから、随分なことでございます。当方もいつ原稿を書いたのかも定かではなく。

しかし、1198 Pages ってどういうことでしょうか。お値段もエライ事になってます。こういう本になるって聴いてたかなぁ、と遠い記憶を呼び起こしてみたりします。


           Table of Contents

Introduction

Part I: National Reunification, 1563-1603

The Three Unifiers of the Empire (Tenka): Nobunaga (1534-82), Hideyoshi (1536-98) and Ieyasu (1543-1616) 
  Fujita Tatsuo

Japan’s Invasions of Korea in 1592-98 and the Hideyoshi Regime
  Nam-Lin Hur

The Life and Afterlife of Tokugawa Ieyasu (1543-1616)
  Morgan Pitelka

Part II: The Physical Landscape

Water Management in Tokugawa Japan
  Murata Michihito

The King Yu Legend and Flood Control in Tokugawa Japan
  Wang Min

Earthquakes in Historical Context
  Gregory Smits

The Centre of the Shogun’s Realm: Building Nihonbashi
  Timon Screech

Part III: Tokugawa Society 

The Samurai in Tokugawa Japan
  Constantine Vaporis

Villages and Farmers in the Tokugawa Period
  Watanabe Takashi

Popular Movements in the Edo Period: Peasants, Peasant Uprisings, and the Development of Lawful Petitions
  Taniyama Masamichi

Coastal Whaling and Its Impact on Early Modern Japan
  Jakobina Arch

Outcastes and Their Social Roles in Tokugawa Japan
  Maren Ehlers

Part IV: Family, Gender, Sexuality and Reproduction                    

Women in Cities and Towns
  Amy Stanley

Childhood in Tokugawa Japan
     Kristin Williams

Growing Small Bodies at the Point of Skin: Young Children’s Bodies and Health in Sacred Skinscape
  William Lindsey

Part V: Tokugawa Economy

Food Fights, But It’s Always for Fun in Early Modern Japan
  Eric Rath

The Silk Weavers of Nishijin: Wage-Laborers in the Tokugawa World
  Gary P. Leupp

The Marketing of Human Waste and Urban-fringe Agriculture around the Tokugawa Cities
  Tajima Kayo

Part VI: Tokugawa Japan in the World

Japan and the World in Tokugawa Maps
  Kären Wigen

Nihonmachi in Southeast Asia in the Late Sixteenth-Early Seventeenth Centuries
  Travis Seifman

Rethinking Ezo-chi, the Ainu, and Tokugawa Japan in Global Perspective
  Noémy Godefroy

The Opening of the Tokugawa World and Japan’s Foreign Relations: The Visits of Korean Embassies to Japan
  Nakao Hiroshi

Early Modern Ryukyu Between China and Japan
  Watanabe Miki

Dutch East India Company Relations With Tokugawa Japan
  Adam Clulow

The Presence of Black People in Japan During the Edo Perio
  Fujita Midori

Seventeenth Century Chinese Émigrés and Sino-Japanese Cultural Exchanges
  Shyu Shing-ching

Selective Sakoku? Tantalizing Hints of Japanese in China after the Tokugawa Maritime Prohibition
  Xing Hang

Tokugawa Japan and the Rise of Modern Racial Thought in the West
  Rotem Kowner

Part VII: The Performing Arts and Sport

The Musical World of Tokugawa Japan   
  Alison Tokita

Visual Disability and Musical Culture in Edo-Period Japan
  Gerald Groemer

Tominaga Nakamoto (1715-1746) and Gagaku (Court Music)
  Intō Kazuhiro

Staging Senseless Violence: Early Jōruri Puppet Theater and the Culture of Performance
  Keller Kimbrough

Rural Kabuki and the Imagination of Japanese Identity in the Late Tokugawa Period
  William Fleming

Sumo Wrestling in the Tokugawa Period 
  Lee Thompson

Part VIII: Art and Literature 

Shunga in Tokugawa Society and Culture
  Andrew Gerstle

Uses of Shunga and Ukiyoe in the Tokugawa Period
  Hayakawa Monta

Two Paths of Love in the Fiction of Ihara Saikaku
  David Gundry

Furuta Oribe: Controversial Daimyo Tea Master
  Kaminishi Ikumi

Grass Booklets and the Roots of Manga: Comic Books in the Tokugawa Period
  Glynne Walley

An Iconology of the Orchid Pavilion Gathering: Image, Text, and Communities in Tokugawa-Era Japan
  Kameda-Madar Kazuko

The Folk Worldview of Chronicles of the Eight Dog Heroes of the Satomi Clan of Nansō
  Inoue Atsushi

Okakura Kakuzō and the Osaka Painting Schools of the Tokugawa Era
  Nakatani Nobuo

The Rise and Fall and Spring of Haiku
  Adam L. Kern

Part IX: Religion and Thought

Christians, Christianity and Kakure Kirishitan in Japan (1549-1868)
  Jan Leuchtenberger

Pilgrimage in Tokugawa Japan
  Barbara Ambros

Structuring the Canon: Exceptionalism and Kokugaku
  Mark McNally

The Image of Susanoo in Hirata Atsutane’s Koshiden
  Tajiri Yūichirō

Itō Jinsai and the Origins of Classical Learning (Kogaku)
  Tsuchida Kenjirō

Mapping Intellectual History: The Neo-Confucian Schools of Zhu Xi, Wang Yangming, and Ogyū Sorai as Mirrored in Islamic Thought
  Kojima Yasunori

Emperor-Centrism and the Historiography of the Mito School
  Kojima Tsuyoshi

Heigaku and Bushidō: Military Thought in the Tokugawa World
  Maeda Tsutomu

Confucian Views of Life and Death
  Takahashi Fumihiro

Part X: Education and Science

Tokugawa Popular Education
  Brian Platt

The Greater Learning for Women and Women’s Moral Education in Tokugawa Japan
  Yabuta Yutaka

"Reading" of the Chinese Classics and the History of Thought in the Edo Period 
  Nakamura Shunsaku

Health, Disease and Epidemics in Late Tokugawa Japan
  William Johnston

Doctors and Herbal Medicine in Tokugawa Japan
  Machi Sunjurō

The History of Natural History in Tokugawa Japan
  Federico Marcon

Attitudes Toward Celestial Events in Tokugawa Japan
  Sugi Takeshi

Part XI: Epilogue

From Feudalism to Meritocracy?: Growing Demand for Competent and Efficient Government in the Late Tokugawa Period
  Matsuda Koichirō

Shōin and Changing Worldviews in the Late Tokugawa Period
  Kirihara Kenshin

The Shinsengumi: Shadows and Light in the Last Days of the Tokugawa Shogunate
  Kimura Yukihiko

Katsu Kaishū and Yokoi Shōnan: Late Tokugawa Imaginings of a More Democratic Japan
  William Steele

Confucian Education in the Formative Years of the Meiji Leaders and Its Modern Implications
  De-min Tao

2021年07月26日 (月)

今日のお題:吉永進一先生より『神智学と仏教』(法藏館、2021年7月)をご恵贈賜る

秘教研究にその人ありと呼ばれる吉永進一先生より、『神智学と仏教』(法藏館、2021年7月)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。

2021年07月26日_神智学と仏教.png
2021年07月26日_神智学と仏教(帯).png

神智学と仏教 - 法藏館 おすすめ仏教書専門出版と書店(東本願寺前)−仏教の風410年
https://pub.hozokan.co.jp/book/b583552.html

本書は、吉永先生のご単著として記念碑的な著作であり、今日の日を迎えられたことに幸いを覚える次第。

まず、タイトルが素晴らしい。

およそ「神智学」と「仏教」とをならべることは、1本の論文の次元ではできるかも知れませんが、これを一冊の本として構成しようとすれば、そこには深い深い知識の裏付けがないとできないことなのであります。

むろんこれまでも、神智学の側が「こちら」(≒仏教 or オリエント or アジア or 日本)側にやってきて、こんな面白いことをやってたんだよ、「宗教学」が確立する19世紀後半ってホントに恐ろしい時代だねぇ、といったお話しはあったと思います。

しかし本書の特筆すべきことは、そういう「こちら」目線――そもそも「こちら」っていう考え方自体おかしいのですが――だけではなく、先方――だからそういう書き方がそもそも……――の戦略と申しますか、神智学の側が何を目指して、どんな戦略で接近してきたのか、あるいは、こちらからあちらへどうアプローチして、世界展開しようとしていたのかという地球規模の視点からもキチンと議論しているところがポイントなのであり、深い学識に支えられたモノに他ならないのであります。

で、目次は以下のようになっています。

序章 似て非なる他者―近代仏教史における神智学―

第�吃堯/醒匈悗領鮖�
第1章 チベット行きのゆっくりした船―アメリカ秘教運動における「東洋」像―
第2章 近代日本における神智学思想の歴史
第3章 明治期日本の知識人と神智学

第�局堯(�教との交錯
第1章 仏教ネットワークの時代―明治二〇年代の伝道と交流―
第2章 オルコット去りし後―世紀の変わり目における神智学と�狄景�教徒�瓠�
第3章 平井金三、その生涯

第�敬堯[鄒�思想と近代日本
第1章 仏教雑誌のスウェーデンボルグ
第2章 大拙とスウェーデンボルグ―その歴史的背景―
第3章 らいてうの「天才」

終章 神智学と仏教、マクガヴァンとその周辺

解題 吉田久一から吉永進一へ(碧海寿広)

初出一覧
あとがき

……とまぁ、対象は古今東西、縦横無尽に渡ってらっしゃるわけで、ご本人はあとがきで「宗教学のニッチ産業」と仰っておられますが、むしろミッシング・リンクを接続するご研究であると言うべきかと思う次第。もとよりミッシング・リンクとは言え、決してピルトダウンのようなものではなく、丹念に歴史の地層を発掘し、その幽(かそけ)きピースを繋ぎ合わせた成果であることは言うまでもありません。

「そんな簡単に理路整然と日本の仏教(⊆宗教)が近代化したかのような物語を認めるわけにはいかない」と、堅く思っている方には是非ともお勧めであります。

2021年06月07日 (月)

今日のお題:西田彰一先生より、近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』(春秋社、2021年05月27日)をご恵贈賜る

西田彰一先生より、近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』(春秋社、2021年05月27日)をご恵贈賜る。いつもありがとうございます。

スクリーンショット 2021-06-07 154859.png
スクリーンショット 2021-06-07 154934.png

近代日本宗教史4『戦争の時代:昭和初期〜敗戦』春秋社、2021年05月27日
https://www.amazon.co.jp/s?k=9784393299647

さて、近代日本宗教史も4ということで、昭和前期を中心にいわゆる「戦前期」を取り上げております。なぜ「戦前」に括弧を付けるのかと申しますと、「戦前」の場合、明治国家の時代全体を指す場合もあるわけでして、

戦前期「外務省記録」|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/shozo/senzen_1.html

なかなかに難しい所ではございます。でもまぁ戦前というと、大体は昭和戦前期のことを指すようには思いますが、それ以降戦争がなかったことの幸いを改めて覚える次第。

さてそれはさておき、内容でございます。

【目次】

第1章 総論――総力戦体制下の新たな宗教性と宗教集団(島薗進)
 1 はじめに
 2 杉本五郎と『大義』
 3 皇道論、日本精神論の広がり
 4 信仰の抑圧・統制と神聖天皇崇敬の鼓吹
 5 国家神道と「神道的イデオロギー」の浸透
 6 本書の構成

第2章 思想と宗教の統制(植村和秀)
 1 近代国家と日本の宗教
 2 法・行政・政策の状況
 3 文部省の動向と宗教団体法
 4 内務省の動向と神社行政・治安維持法

コラム� [鄒�の詩学(若松英輔)

第3章 植民地における宗教政策と国家神道・日本仏教(川瀬貴也)
 1 はじめに
 2 日本の台湾統治と宗教政策の概要
 3 台湾における神道
 4 台湾における日本仏教
 5 朝鮮における宗教政策と植民地布教
 6 朝鮮における国家神道システムの内実
 7 植民地朝鮮における日朝仏教の葛藤
 8 おわりに

コラム�◆‥傾諜ヾ慇發披�克彦(西田彰一)

第4章 戦争協力と抵抗(大谷栄一)
 1 はじめに
 2 日中戦争と総動員体制
 3 中国大陸での宣撫と文化工作
 4 非戦・反戦論の展開
 5 おわりに

コラム�� 懺悔のラジオ講演者・永田秀次郎(坂本慎一)

第5章 昭和初期の新宗教とナショナリズム(對馬路人)
 1 はじめに
 2 ひとのみち教団と都市民向け生活規範の提供
 3 読書と瞑想の宗教・生長の家
 4 大本教と立替立直しのビジョン
 5 救世主・出口王仁三郎と救世プロジェクトの展開
 6 宗教弾圧の時代
 7 おわりに

コラム�ぁ々饌力澄丙�野伸幸)

第6章 戦争・哲学・信仰(藤田正勝)
 1 時代の流れのなかで
 2 田辺元の哲学の展開
 3 「種の論理」の形成
 4 国家の問題
 5 懺悔
 6 懺悔と親鸞の信仰
 7 懺悔道としての哲学
 8 懺悔道の社会性

コラム�ァゞ畭紊瞭�中仏教交流(エリック・シッケタンツ)

第7章 超国家主義と宗教(藤田大誠)
 1 はじめに
 2 「超国家主義」研究の展開とその問題点
 3 近代日本の「超国家(主義)」概念と宗教
 4 戦時下の「超国家(主義)」概念と宗教
 5 おわりに

コラム�Α(�教の南方進出(大澤広嗣)

第8章 戦時下の生活と宗教(坂井久能)
 1 はじめに
 2 軍隊と神社――営内神社等の創建とその役割
 3 学校教育のなかの宗教
 4 戦没者の慰霊
 5 おわりに


まさに適材適所ともうしますか、この方にこれを書いていただくのがもっとも適切だというラインナップでございます。

で、全体を通して思いますのは、この時期における宗教体制の整備が、法的にも、教団的にも、非常に進んだという点であります。それは、総力戦なんだから当然だろうという単純なお話しではなく、なんとも隅々にまで行き渡っていたということが分かります。ある面では、政府の公的見解を越えて行き届いているわけですから、もはやどうにも止められない状況であったと申せます。

まぁ、実際の、『国体の本義』をどれほど熟読したところで、「本義」は分からないわけで、分からないからこそ解釈者が暴走するということになるのでしょうが、その暴走が、戦前以前(変な日本語だ)の言動と必ずしも一致しなかったりする辺りが非常に興味深いところ。

個人的には、「第3章 植民地における宗教政策と国家神道・日本仏教(川瀬貴也)」を面白く拝読した次第。日本の外に、「日本仏教」や「国家神道」を持っていこうとする時点で形容矛盾なわけですが、でもそこは法的に日本なので、やはり「日本仏教」や「国家神道」も機能しないといけないということになるから、話がややこしいことになります。

とはいえ、仏教は一応は普遍的性格を温存しているわけですので、まだやりやすかったとは思いますが――そのあたりは、「コラム�Α(�教の南方進出(大澤広嗣)」または

大澤広嗣『戦時下の日本仏教と南方地域』(法藏館、2015年)
https://www.amazon.co.jp/s?k=978-4831855428

を参照してください――神道は、本当に難しかったと思います。とくに普遍性を捨てて、固有性に特化した論理を打ち立てた明治の国体論や神道には厳しかっただろうなぁと思います。会沢正志斎の国体論なら行けたかについては、現在思考実験中ではあります。

2021年04月26日 (月)

今日のお題:天野真志先生より『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』(吉川弘文館、2021年3月)をご恵贈賜る。

天野真志先生より『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』(吉川弘文館、2021年3月)をご恵贈賜る。まことにもって有難く、感謝申し上げます。

(2021)天野真志『幕末の学問・思想と政治運動:気吹舎の学事と周旋』吉川弘文館、2021年.png

幕末の学問・思想と政治運動 - 株式会社 吉川弘文館 安政4年(1857)創業、歴史学中心の人文書出版社
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b557736.html

幕末の学問・思想と政治運動: 気吹舎の学事と周旋 | 天野 真志 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4642043403

草莽の国学・草莽の国学と呼ばれ続けながら、幕末維新を経て、結局は津和野派に押し流されてしまう平田派と申しますか気吹舎門流が、現実政治においてどのような動きをなしたのかというのは、なかなかに見えてこないところでございます。と、申しますか、非常に地に足の付いた活動――つまり周旋というやつ――をしているがために、そう簡単には全容を見せてはくれないわけであります。

こちらのご本は、そうした幽(かそ)けき活動の跡を、それはそれは丹念に追いかけ、周旋を中心とした志士活動の空間を描き出したという点で、まことにもって貴重なモノとなっております。

まぁ、これを見ますと、なるほど秋田市のど真ん中に篤胤が祀られるわいな、と思ったり思わなかったり。あと、これだけ学問統合を目指していた熱い想いは、明治以降どうなるのかしらんと思うと、非常に寂しくなるのも確かでございます。

【目次】

序章 幕末の国事周旋と政治基盤
 1 本書の課題
 2 研究史の現状と課題
 3 分析視角と対象
 4 本書の構成

第�吃� 「周旋」をめぐる学問と情報
 第一章 秋田藩平田家の誕生と気吹舎
  はじめに
  1 平田篤胤と秋田藩
  2 気吹舎をとりまく環境
  おわりに
 第二章 気吹舎情報をめぐる諸関係
  はじめに
  1 気吹舎と政治情報
  2 共有される「秘密」
  3 秋田藩の情報活動と政治転化
  おわりに

第�局� 国事周旋の時代
 第一章 国事周旋と言路
  はじめに
  1 国事周旋と周旋方
  2 上京要求論の思惑
  3 活動要求としての言路
  おわりに
 第二章 内乱回避をめぐる「周旋」
  はじめに
  1 国政をめぐる諸藩の動向
  2 合従連衡の萌芽と禁門の変
  おわりに

第�敬� 国事と学事
 第一章 平田延胤著『馭戎論』の成立と学問統合
  はじめに
  1 『馭戎論』の成立
  2 『馭戎論』の流通をめぐる思惑
  3 「学問之苗字なし」と政治展望
  おわりに
 第二章 王政復古前後における秋田藩と気吹舎
  はじめに
  1 「復古」の政治過程
  2 「東北雄鎮」としての秋田藩
  おわりに
 終章 総括と課題

当方としては、平田延胤『馭戎論』のお話しは、まことにもって興味深く、彼らがどういう国家像・国際認識を持っていたのかというのを知ることができて大変有難いところであります。ただ、やはりですね、こういう政治的な文書は、そう簡単にオモテに出せなかっただろうなぁと思うわけで、その評価を難しくさせるところでもあります。

そこが、大国隆正のような一定の身分のある人間との発信力の違いなのかなぁと思ったりも致します。まぁ、隆正一流の国学と申しますのは、優れて水戸学と国学のハイブリッドを達成しておりまして、あの治者意識を維持した国学的思考というものこそ、近代国民国家にふさわしい国学のあり方であったとも申せますが、平田はそこまで行けなかったのか行かせてもらえなかったのかは判断の分かれるところかとは思います。

などと、当方の駄文は置きまして、まずは幕末思想史をやろうという方は、絶対にご一読戴きたい本であることは確かでございます。

2020年11月09日 (月)

今日のお題:伊達聖伸先生編著『ヨーロッパの世俗と宗教:近世から現代まで』(勁草書房、2020年10月)をご恵贈賜る。

伊達聖伸先生編著『ヨーロッパの世俗と宗教:近世から現代まで』(勁草書房、2020年10月)をご恵贈賜る。まことにありがとうございます。


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ヨーロッパの世俗と宗教 - 株式会社 勁草書房
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b535778.html

付札が「執筆者一同」のため、どなたから頂戴したのかが分かりませんが、いずれ己れの不義理の故かと痛み入る次第でございます。

さて本書の特筆すべき所は、やはり第一部の総論であろうかと。これほどまでに「ヨーロッパ」における「宗教」を広範かつ丁寧に叙述するのは、かなり難儀であったであろうと思う次第でございます。

ここで大事なのは、「キリスト教史」ではなく、「宗教史」だということですね。「宗教」というモノがいかに認識され――正確に言えば「宗教」と認識される対象がいかに確立したのか――、そしてそれがいかに変容していったのかというのを非常に多面的に描いているわけです。

で、これを一人の人間が出来ようはずもないので、合作となっているのですが、その分担は目次からは分かりませんので、序論を参考に復元してみますとこんな感じで近世から現代までの各地域が描かれることになっています。間違ってましたら申し訳ございません。とくに南欧の辺りは推測が入っております。しかし、西・独・英・仏を一気に描ききる伊達さんの筆力というのは、とんでもないものだなぁと思う所ではございます。

1−4 西・独・英・仏:スケッチ・伊達聖伸、加筆訂正・小川公代、木村護郎クリストフ
 5  南欧・伊:江川純一、葡:オリオン・クラウタウ
 6  東中欧・波:加藤久子
 7  南東欧・バルカン地域:立田由紀恵
 8  露:井上まどか

「日本の〈ヨーロッパ〉は狭すぎる!」(例の○天モバイル風にお読みください)

というのは、夙に思うところでございまして、このくらい揃って初めて「ヨーロッパ」という冠が許されるというもの。

むしろ江戸期のヨーロッパ叙述は、ローマ帝国から出発しているので、むしろ広いわけです。その辺りの日本人のヨーロッパ認識の変容というのもまた面白いところではございます。

おっと脱線。

で、もう一つ、本書のとても大事な、絶対に欠いてはいけない箇所は、「資料編」でございます。

資料編
 1.各国別宗教人口比と宗教人口比将来予想 →2020年現在と2050年(!)予想
 2.礼拝出席率
 3.政教関係
 4.公立校における宗教教育
 5.ヴェール禁止とニカブ・ブルカ禁止
 6.人工妊娠中絶と同性婚の合法化
 7.平均寿命と安楽死・医師幇助自殺

おそらく地域研究を専門になさっている方々には、各々の国や地域の宗教状況というのは常識の範囲内なのでしょうが、最新の情報をこれをヨーロッパというカテゴリで統合し、再配列して、さらに日本語にして下さったことには感謝しかございません。これであと十年は戦えます。いや、2050年予想を考えると30年でしょうか。

ということで、ヨーロッパ自体に関心があまりない方でも、宗教を考えたい方であれば、まずはポチッとして戴きたい。

ヨーロッパの世俗と宗教: 近世から現代まで | 聖伸, 伊達 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4326102861

【目次】

序論 本書の目的・特色・構成(伊達聖伸)

第�吃堯〜輜澄\ぢ�の時代のヨーロッパにおける政教関係の構造と変容
(伊達聖伸、小川公代、木村護郎クリストフ、内村俊太、江川純一、オリオン・クラウタウ、加藤久子、立田由紀恵、井上まどか)

はじめに

第1章 近世─宗教改革から領域主権国家の確立と王権の強化まで(一六世紀〜一八世紀)
 一 スペイン─レコンキスタとカトリック的な王国の形成
 二 ドイツ─宗教改革から領邦教会制へ
 三 イギリス─国教会の成立から二つの革命へ
 四 フランス─宗教戦争から絶対王政へ
 五 南欧─教会国家再編のイタリア、王権強化のポルトガル
 六 東中欧─宗教改革の「先行性」と帝国的な「宗派化」のもとの寛容
 七 南東欧バルカン地域─オスマン帝国統治下の寛容と「イスラーム化
 八 ロシア─正教における帝権と教権、そして宗派化と帝国的な「寛容

第2章 近代─世俗的世界観の覇権の時代(一九世紀〜二〇世紀前半)
 一 フランス─「二つのフランスの争い」とライシテの確立
 二 スペイン─「二つのスペインの争い」か、カトリックの優位か
 三 イギリス─国教徒と非国教徒の作り出すダイナミズム
 四 ドイツ─政教分離の論理とプロテスタント的なナショナル・アイデンティティ
 五 南欧─「二つのイタリアの争い」、「二つのポルトガルの争い」
 六 東中欧─帝国(のはざま)の政治的・宗教的アイデンティティ
 七 南東欧バルカン地域─反西欧的な宗教的ナショナリズム
 八 ロシア─宗教的ロシアに対する二つの評価とソヴィエト体制下の政教分離

第3章 現代─宗教的なものの回帰と再構成(二〇世紀後半以降)
 一 スペイン─イスラームに寛容なカトリック的ライシテの国?
 二 ドイツ─「キリスト教優遇型」の存続か変化か
 三 イギリス─多様性の承認とブリティッシュネスの共有
 四 フランス─ライシテの試練
 五 南欧─カトリック優位の「宗教的多元主義」
 六 東中欧─社会主義体制下の無神論から冷戦後のカトリック復興へ
 七 南東欧バルカン地域─宗教とナショナリズムの結合と再活性化
 八 ロシア─自由と管理の独特の編成
 おわりに

第�局堯ヽ届澄\ぢ�的ヨーロッパにおける宗教的なものの輪郭

〈政教関係の自明性を揺さぶる〉

第1章 一六、一七世紀スペインにおける政教関係─複合君主政と国家教会化(内村俊太)
 はじめに
 一 地域国家の政体
 二 教会制度と国王教会保護権
 三 複合君主政の下での国家教会化
 おわりに

コラム:ポルトガルのカトリック教会と「独立」問題(西脇靖洋)

第2章 ポルトガルにおける権威主義体制の民主化とカトリック教会─リスボン総大司教アントニオ・リベイロの役割に注目して(西脇靖洋)
 はじめに
 一 権威主義体制の崩壊とカトリック教会
 二 暫定期におけるカトリック教会
 三 民主主義体制への移行とカトリック教会
 おわりに

コラム:歴史を見る際の「補助線」としての理論的枠組み(内村俊太)

〈教育のなかの宗教を問う〉

第3章 ヨーロッパの公教育制度におけるイスラーム教育導入のプロセスと論点(見原礼子)
 はじめに
 一 ヨーロッパの公的教育機関における宗教
 二 イスラーム教育導入のプロセスと論点
 おわりに─ムスリムにとってのイスラーム教育の意味

コラム:世俗化社会における宗教教育と共生(増田一夫)

第4章 国家の世俗性のゆくえ─ロシアの宗教教育を事例として(井上まどか)
 はじめに─ロシアにおける宗教復興と宗教教育
 一 一九九〇年代の方向転換─宗教文化教育への道のり
 二 「世俗性」原則をめぐって
 おわりに

コラム:多民族国家における宗教教育(見原礼子)

〈宗教が対立と和解に関与するとき〉

第5章 冷戦下での西ドイツ・ポーランドの和解に宗教はどう関与したのか(木村護郎クリストフ・加藤久子)
 はじめに
 一 ドイツの側から─プロテスタント教会の『覚書』による世論の喚起と代替言説の提示
 二 ポーランドの側から─カトリック司教団「声明」が残した葛藤と新たな自己理解
 おわりに

コラム:「オトナになろう」と背中を押してくれる存在(立田由紀恵)

第6章 スレブレニツァのモスクと教会─内戦後のボスニアにおける宗教と社会(立田由紀恵)
 はじめに─ボスニアにおける宗教、ナショナリズム、戦争
 一 スレブレニツァとは─歴史と現状
 二 スレブレニツァにおける宗教
 三 スレブレニツァの宗教指導者による融和への道の模索
 おわりに

コラム:スレブレニツァはヨーロッパの試験?(加藤久子)

〈宗教を信仰・実践・所属に分節化する〉

第7章 一九世紀イギリス文学の「世俗化」─エミリー・ブロンテの『嵐が丘』とスピリチュアリティ(小川公代)
 はじめに
 一 〈教会〉から離れても〈スピリチュアリティ〉はある
 二 メソディズムの感受性文化─国教会と非国教会のあいだ
 三 物質/身体と霊の融合
 おわりに

コラム:霊性の彷徨はどこに向かうのか(木村護郎クリストフ)

第8章 聖母巡礼地における所属と実践─メジュゴリエの事例(岡本亮輔)
 はじめに─「危険」な聖母出現
 一 メジュゴリエを取り巻く三つの対立
 二 ゴスパの政治的インパクト
 三 所属から実践へ
 おわりに

コラム:ヨーロッパ的現象としてのゴスパ出現(諸岡了介)

〈多様な生と(不)死の時代に〉

第9章 現代イギリスにおける宗教的多様性とホスピス(諸岡了介)
 はじめに
 一 問題の背景
 二 宗教的多様性に応じた取り組み
 三 チャプレン職の供給
 四 ホスピスの文化的基盤
 おわりに─将来の社会的課題

コラム:ホスピスケア、イギリスとロシアの共通点(井上まどか)

第10章 トランスヒューマニズムと「人新世」─科学技術時代の「信」のゆくえ(増田一夫)
 はじめに─自己の身体とその境界
 一 ディスラプションの時代
 二 トランスヒューマニズムの宗教性
 三 テクノロジーの形而上学vs自然の宗教
 おわりに─超越としての人間

コラム:「トランスヒューマニズム」の系譜をロマン主義運動まで辿る(小川公代)

資料編
 1.各国別宗教人口比と宗教人口比将来予想
 2.礼拝出席率
 3.政教関係
 4.公立校における宗教教育
 5.ヴェール禁止とニカブ・ブルカ禁止
 6.人工妊娠中絶と同性婚の合法化
 7.平均寿命と安楽死・医師幇助自殺

2020年10月28日 (水)

今日のお題:桐原健真「国体論の形成とその行方」、近代日本宗教史1『維新の衝撃:幕末〜明治前期』春秋社、2020年

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「国体」を象徴する教育勅語や御真影といったものは、戦前の日本において、神聖性をまとわせられつつ取り扱われた。学校火災に際して、校長がしばしばみずからの生命を投げ打って教育勅語の謄本や御真影を「奉護」したのは、まさにそうした神聖性のためであり、またそれゆえ、これらの痛ましい事件は、ときに「美談」としてすら語られたのである。その一方で、この神聖なる勅語謄本や御真影を粗略に扱うことは、極めて重い罪と認識され、しばしば激しい社会的制裁を加えられることとなった。

丸山真男が指摘したように、戦前の日本では、こうした勅語謄本や御真影をめぐる「おそるべき呪縛力」が存在していた。その「力」は、単に「精神的代用品」と切り捨てるには、あまりにも広く強かったようにみえる。

こうした「魔術的な力」を有した「国体」なるものがいかに生み出され、どのように認識されたのかを、その誕生の時期を中心に検討した。71-99頁。

[1]維新の衝撃 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393299616.html

目次
巻頭言

第一章 総論 ――近世から近代へ 末木文美士
  一 近代日本宗教史の困難と課題
  二 前近代の宗教と王権
  三 幕末・維新期の神道と国家
  四 幕末維新と仏教
  五 本巻の構成

第二章 天皇、神話、宗教 ――明治初期の宗教政策 ジョン・ブリーン
  一 はじめに
  二 近代天皇の宮中儀礼
  三 伊勢神宮の明治維新
  四 比叡山延暦寺と日吉社
  五 おわりに

――コラム� 】靂餘親亜_�田正彦

第三章 国体論の形成とその行方 桐原健真
  一 はじめに
  二 「魔術」としての「国体」
  三 尊攘志士と「国体」
  四 後期水戸学における神道の位相
  五 水戸学から国学へ
  六 おわりに

――コラム�◆ー�教と近代 小島毅

第四章 宗教が宗教になるとき ――啓蒙と宗教の近代 桂島宣弘
  一 近代宗教概念の登場
  二 岩倉使節団の経験
  三 森有礼の「信教自由」論
  四 religion以前の宗教の様態
  五 金光教の宗教化過程
  六 神道の非宗教化 ――神道「治教」論
  七 おわりに ――久米邦武の述懐

――コラム�� 妙好人像の変貌 岩田真美

第五章 近代神道の形成 三ツ松誠
  一 はじめに
  二 幕末国学と復古神道
  三 西川須賀雄と幕末佐賀
  四 王政復古と国学者
  五 教導職と国民教化の時代
  六 日本型政教分離の成立
  七 おわりに

――コラム�ぁ「狃�と女性神職 小平美香

第六章 新宗教の誕生と教派神道 幡鎌一弘
  一 新宗教・民衆宗教・教派神道の位置付け
  二 近世後期の社会と宗教
  三 教派神道の成立
  四 おわりに

――コラム�ァ(�書の近代化 万波寿子

第七章 胎動する近代仏教 近藤俊太郎
  一 はじめに ――島地黙雷と清沢満之の間
  二 宗教制度の近代的再編
  三 伝統教団の近代
  四 仏教改革運動
  五 おわりに

――コラム�Α‐�土真宗の中国布教 陳継東

第八章 キリスト教をめぐるポリティクス 星野靖二
  一 はじめに
  二 キリスト教の政治的な取り扱いをめぐって
  三 キリスト教の展開をめぐって
  四 キリスト教の受容と解釈をめぐって
  五 キリスト教と仏教の交渉
  六 おわりに

2020年10月28日 (水)

今日のお題:桐原健真「金城学院大学「学校経営と学校図書館」(3年生対象)授業実践報告」、大嶋えり子・小泉勇人・茂木謙之介編『遠隔でつくる人文社会学知:2020 年前期の授業実践報告』雷音学術出版、2020年、70頁

大嶋えり子・小泉勇人・茂木謙之介編『遠隔でつくる人文社会学知:2020 年前期の授業実践報告』雷音学術出版、2020年
https://sites.google.com/view/lionpress/%E5%88%8A%E8%A1%8C%E6%9B%B8%E7%B1%8D?authuser=0

1.シラバス段階での講義の目的と概要、講義内容、成績評価の方法
2.大学から要請された遠隔のルールとそれに基づいて変更し実施した授業内容
3.学生の反応と今後の課題・可能性

の3節構成。

第2節については、ルールの策定側にも属していたので、その知見も含めて書きました。

というか、「学校経営と学校図書館」って、オマエの専門そこだっけ? と言われそうですが、一応書誌学風なこともやっているし、司書教諭資格も持っているのでこのようになった次第。

ほかの授業は、対面とかが入ってしまって、フルに遠隔だったのはこれだけなのです。

ちなみに、読売新聞と中日新聞(≒東京新聞)の一面比較を毎回させました。なかなかにこれが面白い。このコロナコロナしている中で、なぜソレが一面トップじゃなければならないの? ということが続発。リテラシーって大事ですね。

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