2011年07月19日 (火)

今日のお題:桐原健真「幕末維新期尊攘論における国際社会認識の転回幕末維新期尊攘論における国際社会認識の転回――「帝国」言説をめぐって」(韓日文化交流基金・東北亜歴史財団編『1910년-그 이전 100년:한국과 일본의 서양문명수용(1910年:その以前の100年:韓国と日本の西洋文明受容)』ソウル・景仁文化社、2011年01月、3?53頁、内3?28頁韓国語訳)

$FILE1_l 震災の直後あたりに送られてきていたのですが、茫乎としてうち過ぎておりましたため載せておりませんでした。

近代漢語としての「帝国」に関しては、ずいぶん色々なところでお話しをしましたが、台湾・日本そして韓国とで話すことができたことは大変有り難いことでございます。

とくに今回は、大韓民国臨時政府樹立90年周年(2009年)を経た韓国併合100周年の際のシンポジウムでしたので、「帝国」の対概念としての「民国」についても言及しております。



2009年は大韓民国臨時政府樹立90年周年にあたる記念すべき年であった。この臨時政府が、今日に至るまで用いられているところの国号である「大韓民国」を称した歴史的背景には、これに先立つ国号としての「大韓帝国」(1897)「中華民国」(1912)の存在がある。すなわち、「大韓民国」とは「大韓」という国名と「民国」という政治体制を意味する近代漢語との融合によってはじめて成立した国号にほかならない。〔中略〕1910年代の東アジアに連続して成立した二つの国号が「共和国」ではなく「民国」を選択した背後にも、やはりこのような漢文脈の影響があったであろうことを見逃すことができない。すなわち大韓民国に先行して大韓帝国が存在し、大清帝国を革命によって打ち倒した中華民国が、一時期袁世凱(1859‐1916)によって中華帝国(ただし数ヶ月で廃絶)となったことからもわかるように、「民国」とは「帝国」の対概念であり、主権がどこに存するかを明示する新しいことばであった。


ネグリ&ハートのEmpire(2000)というタイトルが、どのように漢字文化圏で翻訳されたのかというのを見ていくとなかなか面白くて、わりと皆さん食い付いてました。韓国語が一番早かったようで、これもまた面白い。

|*刊行年|*刊行地|*書名|*翻訳者・出版者|
|2001年|韓国|『제국〔帝国〕』|윤수종訳・ソウル:理学社|
|2002年|台湾|『帝国』|韋本ほか訳・台北市:商周出版|
|2003年|中国|『帝国――全球化的政治秩序』|楊建国ほか訳・南京:江蘇人民出版社|
|同上|日本|『〈帝国〉── グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』|水嶋一憲ほか訳・東京:以文社|
|2004
(番外)|越南|Trần Hữu Dũng, 2004.“Mỹ, một đế quốc?〔「アメリカ帝国?」〕” THỜI ĐẠI MỚI No.2.(http://www.tapchithoidai.org/200402_THDung.htm)2010年05月11日10時48分閲覧|

ベトナムでもEmpireは帝国です。

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