
左より:平下智之薬剤部長、林高弘教授、田中美安さん(林高弘研究室 卒業生)、小栗良介先生、井上壽江副薬剤部長
田中美安さん(林高弘研究室 卒業生)が薬学部薬学科で卒業研究として取り組んだ研究「B型肝炎ウイルス再活性化予防に関わる業務のタスク・シェア体制構築と薬剤師介入の意義」が、2026年4月、学術雑誌 ‘日本病院薬剤師会雑誌’ に掲載されました。
B型肝炎ウイルス(HBV)が一度抑制または治癒した後であっても免疫抑制作用のある薬や化学療法による治療を行った際、治療中あるいは治療後にHBVが再増殖することがあります。これをHBV再活性化といいます。HBVが再活性化すると肝炎を引き起こしますが、通常の肝炎に比べて重症化しやすく、劇症肝炎になる危険性があります。このため、これらの治療を行う際には治療前および治療後も継続的にHBVの検査を実施する必要があります。
しかし近年、検査漏れでの治療による肝炎発症が社会問題となり、各医療機関では自発的に検査確認対策がとられるようになりました。岐阜県総合医療センターでも対策がとられ、薬剤部はHBV再活性化予防対策に関わるマニュアルを作成し、治療を受ける患者様に対して検査オーダーが入力されているか否かを毎日チェックする体制をとるようになりました。この対応は約4年前から始めましたが、どの程度の効果があるかが未だ検証されていませんでした。
そこで、過去に治療を受けた患者様4,112人を対象に、期間ごとに検査実施率の変化を調査しました。その結果、対応前から対応開始直後にかけて検査未実施率が著しく低下したことが明らかになりました。さらに解析をしたところ、本対策は医療従事者間でのHBV再活性化防止に対する意識向上にも効果があることが示されました。
本研究は、岐阜県総合医療センター薬剤部および消化器内科との共同研究として実施したものであり、今後のB型肝炎再活性化の防止に役立つことが期待されます。
【論文情報】
掲載誌:日本病院薬剤師会雑誌 第62巻4号
論文名:B型肝炎ウイルス再活性化予防に関わる業務のタスク・シェア体制構築と薬剤師介入の意義
著者:小栗良介¹、林高弘²、田中美安²、田中佳子¹、井上壽江¹、清水省吾³、平下智之¹
所属:岐阜県総合医療センター薬剤部¹、金城学院大学薬学部²、岐阜県総合医療センター消化器内科³