左より:松岡宏教授(藤田医科大学医学部総合消化器外科学)、安藤洋介講師(藤田医科大学医学部薬物治療情報学)、折戸花帆さん(6年生)、林高弘教授

薬学部の折戸花帆さん(林高弘研究室・6年生)が取り組んだ研究「Comparison of Standard and Biweekly Trifluridine/Tipiracil Plus Bevacizumab Regimens in Advanced or Recurrent Colorectal Cancer: A Retrospective Study」が、2025年7月、英文学術雑誌 ‘Japanese Journal of Clinical Oncology’ に掲載されました。

切除不能な進行性または再発性大腸がんに対するがん化学療法としてトリフルリジン/チピラシル(TAS-102)という経口抗がん剤を用いた治療法があります。2023年5月、TAS-102単剤で使用した場合とTAS-102とベバシズマブ(BEV)を併用した場合(TAS-102+BEV)を比較した臨床試験により、TAS-102+BEVの方がTAS-102単剤よりも有効性において優れるとの結果が示されました。この併用療法に用いるTAS-102の投与スケジュールは、5日間連続で服用したのち2日間休薬し、これを2回繰り返し、その後に14日間休薬する『5投2休投与法』が標準的です。これに対して、5 日間連続で服用したのち9日間休薬する『5投9休投与法』という新たなスケジュールが知られていますが、どちらが良いのかを直接比較した研究結果は示されていませんでした。

 今回、TAS-102+BEVで治療した患者様を対象に、5投9休投与法と5投2休投与法での有効性と安全性について2群間で比較したところ、重度の好中球減少症の発現には投与法の違いが影響しており、5投9休投与法の方が発現率の低いことが明らかとなりました。一方で、有効性を示す指標であるOS(全生存期間)およびTTF(治療成功期間)には差は認められませんでした。

本研究は、藤田医科大学医学部薬物治療情報学および総合消化器外科学、藤田医科大学岡崎医療センター消化器外科、藤田医科大学ばんたね病院外科との共同研究として実施したものであり、今後の大腸がんでの治療戦略に役立つことが期待されます。

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