国際情報学科の授業「国際関係学B」にてシンガーソングライターのおかゆさんを講師としてお招きし特別講演「おんなギター流し『おかゆ』の歌と人生」を開催

「国際関係学B」では、経済や社会がグローバル化するなかで国際協調をどのように実現するのかについて学んでいます。現在は、物や金だけでなく、人や文化も国境を超えるようになっています。多くの日本人スポーツ選手も海外で活躍していますし、日本映画や日本のアニメも国境を超えて世界の人々に愛されています。
ハーバード大学で教鞭をとった国際政治学者、故ジョセフ・ナイ教授は、そういった「他者を魅了する力」のことを「ソフトパワー 」と呼びました。お隣の国、韓国では、イ・ジェミョン(李在明)政権が発足し、反日政策への回帰が懸念されましたが、新大統領は親日政策の継続を宣言しました。その背景には、親日感情を持つ若年層への配慮があったと言われています。その若年層の親日感情の要因の一つが、日本の「昭和歌謡」だったと言われています。それもそのはずで、現在、70年代から80年代にかけて流行った日本の歌謡曲やシティーポップが世界的に大ブームになっているからです。

今回の特別講演では、平成生まれではありますが、亡きお母様の影響で幼い頃から歌謡曲を子守唄のように聴いて育ったシンガーソングライターのおかゆさん(ビクターエンタテインメント所属)を講師としてお招きし、歌謡曲の魅力、歌謡曲のレガシー、そしておかゆさんの人生と歌謡曲の関係について、レコード演奏と弾き語りを交えて、ご講演いただきました。加藤ミリヤさんの「ディアロンリーガール」のルーツが佐東由梨さんの「ロンリーガール」にあったことなどを例に、昭和歌謡のDNAがJ-POPに脈々と受け継がれていること、歌手としてのおかゆさんのルーツがお母様の歌手志望の「夢」にあったこと、そしてお母様から受け継いだ、その「夢」を具体的な「目標」に変え、その夢を叶えたことなど、将来に不安を持つ学生たちの心に刺さるお話しをされて、最後に新曲「ジモンジトウ」の弾き語りで、参加された受講生の皆さんに対して激励のメッセージを贈られました。素晴らしい講演でした。おかゆさんの今後の、さらなるご活躍を期待しております。
(担当教員:山田高敬)

<講演後におかゆさんからいただいたコメント>
このたびは、金城学院大学で講演の機会をいただき、本当にありがとうございました。
昭和歌謡という文化に込められた“人の想い”や“時代の空気”を、平成生まれの私が現代に届けていくことには、使命のような気持ちを抱いています。そして、そんな音楽や言葉が、学生の皆さんの心のどこかにそっと残ってくれたのなら、これほど嬉しいことはありません。
皆さんの感想を読ませていただき、私自身も改めて「ルーツを大切にすること」の意味を考えさせられました。夢や目標は、自分の中から生まれるものでもあり、誰かの思いや記憶からつながっていくものでもあるのだと感じています。

これからも、皆さんがそれぞれの人生の中で、自分自身の“原点”や“想い”に耳を澄ましながら、一歩ずつ前へ進んでいけますように。心から応援しています。
おかゆ(おんなギター流し&シンガーソングライター)

<受講した学生のコメント>
国際情報学部2年 加藤夕奈
おかゆさんの講演を聞いて、私は将来、どんな形であれ、人も自分も楽しませることができたらいいなと思いました。おかゆさんは、お母さんの意思を受け継いで女流しとして、お酒の場でみんなを楽しませていました。それは、おかゆさんのお母さんにとっても、とても喜ばしいことだと思うし、お客さんにとっても楽しいし、いろいろな人を喜ばせることができていて、とても良いことだと思います。また、自分も楽しんでいるからこそ、生き生きと生きているのだなと思いました。しかし、そうなるまでに、何回もお店の人に断られたりする困難があったのに、前向きに考えて行動しているおかゆさんをとても尊敬し、自分もどんなに辛くてもポジティブに生きていきたいなと思いました。
私が将来、人を楽しませる生き方がしたいのは、小さい頃からディズニーが大好きで、ディズニーのキャストさんに憧れて育ったからだと思います。ディズニーへの気持ちがルーツで、ディズニーの海外ドラマも好きだから英語や海外にも興味を持って、実際に国際情報学部で外国のことについて学んでいます。誰かを楽しませたい、誰かの役に立ちたいという思いもキャストへの憧れからだと思います。おかゆさんの言っていたように、叶えたいことを夢とするのではなく、目標にしてそれを達成するためには何をするべきか考えると、とても効率の良い生き方ができるのではないかと考えました。

国際情報学部3年 小川いぶき
おかゆさんの公演は、私にとって非常に学びの多いものでした。おかゆさんが歌手を目指すようになった背景には、歌手になることを夢見ていたお母さまの影響がありました。幼い頃からスナックに連れて行かれては、そこで歌謡曲に親しんで育ったというエピソードを聞き、どんなに小さな体験でも、それがやがて自分のルーツや将来につながるのだということを、実際の経験を通して強く感じさせられました。また原点を忘れずに歩むことの大切さに改めて気づかされました。何気ない日常や、幼い頃の出来事が、やがて人生の指針となり得ることを深く実感しました。
私自身も、小さい頃から人と関わることが好きで、また旅行好きな母の影響で、空港や飛行機に触れる機会も多くありました。母は若い頃、キャビンアテンダントに憧れていましたが、身長や学力の面でわずかに条件に届かず、夢を諦めることになりました。
こうした背景を振り返る中で、私にとってキャビンアテンダントという職業は、人と人とのつながりを大切にしながら、自分の原点を活かせる場であり、また母の夢を私が引き継ぎ、叶えることができる職業だと強く感じるようになりました。今回の講演を通して、その思いはさらに強まり、この道を本気で目指したいという決意がより一層固まりました。これからも自分の過去や原点にしっかりと向き合いながら、7842(七転び八起き幸せに)の精神を忘れずに、夢に向かって努力を重ねていきたいと思います。

国際情報学部3年 坂野智美
講演の中で一番印象に残ったのは、歌手を志す過程で、自身のルーツを整理したというエピソードです。話し方や、講演の内容から、おかゆさんは自分の思いに実直で、好きなものに対して情熱的であるという印象を受けました。その一方で、自己分析や、目標達成のために具体的な数字を設定するといったプロセスを自身で構築していったという話に、冷静な側面を感じました。おかゆさんから受けた印象とのギャップがあり、とても印象に残っています。 
講演を聴きながら、私自身の「目標」とそのルーツは何だろうかと考えていました。就活中であるため、現在の目標は社会全体の基盤を支えるような職業に就くことです。そのルーツは友人たちであるように思います。私は友人を心から尊敬しています。彼ら、彼女らの共通点は、創作活動をしていることです。それぞれが世界観や価値観を確立しており、好きなものを形にしていくことが心底楽しいといった姿を見ることが、とても幸せです。もっと作品を作り続けてほしいという思いから、生活を守り、支える仕事がしたいと思うようになりました。 様々な困難がありながら、自身のやりたいことを見失わずに突き進んできたおかゆさんのお話は大変な励みになりました。私も目標達成のために自分と向き合い、具体的な行動を考えていきたいと思います。

国際情報学部3年 花田琴音
おかゆさんの講演を聞いて、自分の夢を叶えるためには、まず自己分析をして、自分にできることから一歩ずつ進んでいくことが大切だということを学びました。やりたいことがあっても、いきなり大きな目標を目指すのではなく、今できることに目を向けて一歩ずつ進むことが、夢に近づく一番の方法だというメッセージが心に残りました。また講演の中で聴かせていただいた昭和の歌謡曲は、現代の音楽とは違い、テンポがゆっくりしていて歌詞の意味をしっかりと感じ取れるような、メッセージ性のあるものでした。流行のサイクルが早い現代の音楽と比べて、じっくりと味わえる落ち着いた雰囲気があり、ネオンの街を思わせるような世界観にも引き込まれました。「こういう音楽も素敵だな」と、新たな発見がありました。さらに、「ロンリーガール」を加藤ミリヤさん、佐東由梨さん、おかゆさんの順に聴き比べたことで、同じ曲でも時代やアレンジによって大きく印象が変わることを実感しました。それぞれの歌手が原曲の良さを残しながらも、自分なりのアレンジを加えていて、音楽の多様性や奥深さを感じることができました。まだ将来の目標は明確ではありませんが、焦らずに自分自身と向き合い、今できることから始めていきたいと思います。自分のルーツを振り返ることで、将来のヒントが見えてくるかもしれないと感じました。