2023年7月1日(土)、 「ファンドレイジング」の授業(*1)にて、4月から始まった授業全体の学びの集大成としてファンドレイジングアクションプランを作成し、博物館明治村、アジア車いす交流センター(以下WAFCA)の方々の前で発表しました。

同日の授業では、5月20日(土)に行った博物館明治村、WAFCAでのフィールドワーク(*2)での経験を基に、博物館明治村からは「1回目の寄付につながる接点づくり」、WAFCAからは「寄付・会費のあり方」や「新しい財源の提案」などのお題を提示いただき、4月からの授業で培ったファンドレイジングに関する理論や視点、具体的な実践ノウハウを生かして個人、グループでプランを練り上げ発表を行いました。 当日は博物館明治村より所長である湯田様のほか、宮崎様、小林様、WAFCAより近藤様に大学へお越しいただき、グループワークにも一緒に入っていただいたほか、発表に対してのコメントもいただきました。

学生からは、まず博物館明治村に対して、建築士や建築士を目指す方を対象とした「謎解きにハマっちゃおうキャンペーン」や、謎解きをする人たち向けの休憩所の設置、子ども向けの音声ガイドや、某アニメとのコラボレーションの提案が行われました。

続いて、WAFCAに対して、法人設立の母体でもあるデンソーの退職前の社員向けに、対象を特定した子どもを救うためのキャンペーン寄付や、プロや著名人を招いて行う車いすスポーツなどのチャリティイベントの開催、SNSでバズらせる企画などが提案されました。


学生からの発表後、博物館明治村所長の湯田様より下記のコメントをいただきました。
「昨年度からファンドレイジングの取り組みをはじめて1年以上が経過したなか、ちょうど次の展開を考えていこうと思っていたタイミングだった。そのようななかで、今日、いろいろとヒントになりそうなアイデアをいただけたと思っている。内部で具現化に向けて動いていきたい。そして、具現化できた際には、ぜひ学生のみなさんにもご協力いただきたい。」

また、WAFCAの近藤様より下記のコメントをいただきました。
「3つのグループからアイデアをいただいたが、それぞれまさにWAFCAが抱えている課題を解決するアイデアだと思い、何らか今の事業に取り込んで実現していきたいと思った。自分自身は、今日のようにアイデアを出して寄付を募るという仕事をしているため、とても勉強になった。職員数も少ない中で、このようにアイデアを出していただくのはもちろん、一緒にやっていただける仲間になっていただけると嬉しい」

学生自らが、実際に現場に触れ、目で見て、さらには博物館明治村では来場者の声も直接お聞きできたこと、WAFCAでは活動を支えるボランティアの方々と一緒に活動を行いながらコミュニケーションが取れたことで、寄付者のイメージが膨らませることができました。これらの経験と、フィールドワーク以外の座学で得た知識やノウハウが交わることで実践的な学びを深めることができたと感じています。

授業は前期期間で終了となりますが、今回のご提案が、各団体で実際のプログラムとして形になっていくことを願いつつ、学生らの継続的な関わりを後押ししていきたい思っています。

当日お越しいただきました湯田様、宮崎様、小林様、近藤様をはじめ、博物館明治村及びWAFCAの関係者の皆様、そして授業を運営いただいている日本ファンドレイジング協会の関係者の皆様に、改めてこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。 

*1 
 ファンドレイジングは、NPOなどの非営利組織が、単にその活動資金を調達するだけではなく、支援を募る過程を通じて、より多くの人たちに社会の課題を示し、理解と共感を得て、その課題解決への参加者を増やして社会をより良くしていく取り組みです。
 本授業は全15回で構成され、非営利組織の経営や資金調達に関する体系的な知識習得と、自らの手でファンドレイジング計画を策定する力や、それを実行するための戦略的思考を身につけることを目標としています。さらに学生たちは、地域の協力を得てファンドレイジングの実践現場に出向き、職員や地域の人々とのコミュニケーションを通じて課題に取り組みます。
 社会福祉を学ぶ学生がファンドレイジングの基礎を体系的に学ぶことで、将来の社会課題解決を担う人材へと成長することを目標とした実践的な授業です。
 なお、本授業を受講し単位を取得することで、「准認定ファンドレイザー(※)」の受験資格を取得することができます。大学の授業内で本資格の受験資格を得ることができるのは、全国で初の試みとなります。
 ※准認定ファンドレイザーは、日本ファンドレイジング協会が行う資格認定制度において付与する専門資格です。NPO運営の全般に関する知識、寄付・会費・助成金の財源獲得に関する知識を習得し、また、ファンドレイジング行動基準を遵守するファンドレイザーとして認証されるものであり、2023年4月現在、1,418名が資格取得しています。

*2
 2023年5月20日(土)に行った、「博物館 明治村」、「アジア車いす交流センター」でのフィールドワークの様子が、2023年6月13日発行の『全私学新聞』に掲載されました。(記事は許諾を得て掲載しています。)