初夏の植物
 
〜解説を見ていただくに当たっての注意〜
 *植物名は標準和名,学名,()内に科名の順で書かれています。
 *用部のあとのカッコ内は生薬名前です。
 *主要成分とはその植物を特徴づける成分のことです。一番多く含まれているという意味ではありません。
  また,薬効成分というわけではないこともあります。
 
ソバ Fagopyrum esculentum Moench(タデ科)
用 部 : 種子
用 途 : 食用
主要成分: フラボノイド(ルチンなど)

つるつるっと食べるソバの原料です。ルチンに抗高血圧作用,血管強化作用があるために食材としても注目されています。
ヤマトトウキ Angelica actiloba(セリ科)
用 部 : 根(当帰)
作 用 : 補血,血流改善
主要成分: フタリド化合物

女性の冷え性や生理不順,更年期障害などに用いる漢方薬によく使わる,女性の味方の植物です。セリに似た独特の香りがあります。
シャクヤク Paeonia lactiflora(ボタン科)
用 部 : 根(芍薬)
作 用 : 鎮痙 鎮痛
主要成分: ペオニフロリン(指標成分)

5月の連休頃に花を咲かせます。葛根湯,芍薬甘草湯などの漢方薬に配合されており,筋肉の凝りをほぐす作用を示します。
カミツレ Matricarcia chamomilla L.(キク科)
用 部 : 頭花
作 用 : 鎮静 リラックス効果
主な成分: 精油成分

カモミールというとおなじみかと思います。花を摘み取って乾燥させ,お茶にして飲むと気分を落ち着かせるといわれています。欧米では落ち着きのない子供をおとなしくさせる薬のように使われているようです。
ヒレハリソウ  Symphytum officinale L.(ムラサキ科)
用 部 : 根と根茎
作 用 : 下痢止めの民間薬
主な成分: アルカロイド,タンニン

コンフリーというとおなじみかと思います。薬用としては根・根茎を煎じて下痢止めに使います。 葉はてんぷらなどにして食用としても用いられますが,若葉はジギタリスの葉に似ていて誤食事故が起きることがあります。ヒレハリソウの葉には毛が多いのでそこで区別します。
アマドコロ Polygonatum odoratum var. pluriflorum(ユリ科)
用 部 : 根茎(玉竹)
作 用 : 強壮,強精
主な成分: 
タチジャコウソウ Thymus vulgaris L.(シソ科)
用 部 : 全草(麝香草)
作 用 : 芳香剤 鎮咳 鎮静 抗菌
主な成分: チモールなどの精油成分

タイムの名前でおなじみの香草です。精油成分が芳香と種々の薬理作用を持ちます。上に向かって立ち上がるので,立麝香草
という名前がついています。
シナマオウ Ephedra sinica L.(マオウ科)
用 部 : 地上部(麻黄)
作 用 : 鎮咳 交感神経興奮
主な成分: エフェドリンなどのアルカロイド

葛根湯などにも配合されている,大事な植物です。普段は緑の茎状のものがボサボサと生えているだけですが,初夏,黄色い花がつきます。エフェドリンなどの含有成分が交感神経を興奮させ,気管支を拡げるので咳止めの効果を表します。からだを温める作用も強いです。交感神経興奮作用のためにドーピングの対象となるので,これが配合されている漢方薬をオリンピックなどの大きな大会の出場選手が服用すると違反になります。
オキナグサ  Pulsatilla cernua(キンポウゲ科)
 

春のページでご紹介したオキナグサです。
初夏になると,翁の鬚のような種子を着けます。
写真は全て本学薬用植物園で撮影したものです。
Copyright(c) 2006- Lab of Pharmacognosy, Kinjo Gakuin Univ. All rights reserved.