2012年01月26日 (木)

今日のお題:桐原健真「永久開国論と戦後日本:「尊農攘夷」思想を出発点に」、第5回政治学勉強会、2012年01月26日、仙台市・東北大学法学研究科

世の中には、「尊農攘夷」思想というものがあるそうです。農業の市場開放に対して反対する人々を揶揄して、「尊王攘夷」をもじって、「農業を尊崇し、夷狄を攘斥する」という意味で「尊農攘夷」と呼ぶのだそうです。TPP推進派が、反対派に対してしばしば用いられるようです。


 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対する人たちのなかに、TPPなどやると日本がアメリカ化して日本でなくなる、と心配する人が結構いる。

 論理でなく心情に着目すれば、TPPの反対論は幕末の尊皇攘夷(じょうい)論とあまり変わるところがないように思う。農本主義的でもあるから、私はこれを「尊農攘夷」と呼ぶことにしている

 この気分はよく分かるのである。アメリカはペリー提督からマッカーサー元帥、さらに近くは日米構造協議に至るまで、日本国の根本に手を突っ込んで大変動を起こしてきた国である。結果は悪くなかったと思うが、それがまたしゃくのタネだ。

 あの人たちと再度、アレコレ開国論争をするのかと思うと、賛成派の私ですら気が重くなる。

魚拓:(cache) 水説:尊農攘夷でいいのか=潮田道夫 - 毎日jp(毎日新聞)
http://megalodon.jp/2011-1109-1827-30/mainichi.jp/select/opinion/ushioda/news/20111109ddm003070124000c.html


参考:"尊農攘夷" - Google 検索
http://www.google.com/search?hl=ja&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&num=50&q=%22%E5%B0%8A%E8%BE%B2%E6%94%98%E5%A4%B7%22

とはいえ、この「尊農攘夷」なることばは、決して昨日今日できたモノではございませんで、1980年代初頭の日米貿易摩擦問題の際にもすでに見えております。

本家本元の「尊王攘夷」が、「弘道館記」(1838年)以来のことばであり、20年程度で、「尊王倒幕」の声に取って代わられたことを考えますと、この「尊農攘夷」の生命力は、本家のそれよりもはるかに長いと申せます。とは申しましても、その意味内容は、その時々で変容しており、また断続的に叫ばれているわけでありますから、そこに見るべきものは、「尊農攘夷」の生命力ではなく、思想の継受性が弱い「日本の思想」(by 丸山真男)の特徴なのかも知れません。

法学・政治学をご専門にされている方々にお話しするのは、珍しいことなので、とても大変よい刺激になりました。夜も美味しかったです。

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