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東海エリアで暮らす女性に役立つ情報サイト、『CUCURU』取材記事 「大学教授に聞くステキなはなし」

CUCURU取材記事①


子どもの「駄々」に悩むママへ。
子育てで意識すべきポイントとは?

画像:CUCURU編集部

子育てを経験している方たちの中には、「言うことを聞かない子どもにいつも困っている……」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、『金城学院大学 人間科学部 現代子ども学科』日比野直子准教授に“子どものこころを知ることの大切さ”や“保護者が子どもとコミュニケーションをとるときに意識したいポイント”を伺いました。

■子どもの成長とともに、ママの悩みも変わる

―子どもを産み、子育てを経験する人は様々な悩みを抱えると思います。その悩みには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

「子どもが生まれてしばらくの間は、子どもの体重増減やアレルギーなど、生命維持・発育に関する悩みを持ちやすい傾向にあります。また、子どもが泣き続けることがあると、何らかの重い病気を疑い不安が高まるなど、精神的に追い込まれてしまうこともあります。

その後、子どもが成長していくと、他の子どもと関わる場面も増えてくるため、言語の発達やコミュニケーション能力、特性、個性に関する悩みを持ちやすくなります。このように子どもの成長とともに抱える悩みは変化していきます。

また、さらに悩ましいのは、子育てに関する悩みは、ひとつずつすっきり解決していくものではなく、一定期間持続するいくつかの悩みが重なり合いながら進む点です。このすっきりしない状態がいつまで続くのか、見通しが立たない中に身を置くのは、なかなかしんどいものです」

―このような悩みを抱えているママや、身近にそのようなママがいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

「以前は、地域社会や同居している家族が日常生活の中で子育てに介入してくれました。また、親になる前に身近な人が子育てをする姿を見て学ぶ機会も多くあったのです。

しかし、核家族化や地域社会との寸断が加速していく中で、子育てを学ぶ機会やサポートを受ける機会が少ないという厳しい条件下で現代の子育ては行われています。その結果、子育てに対する悩みを1人で抱えることとなり、悩みが深刻化してしまう傾向にあるんですよ」

■子どもとの接し方に悩むときに意識したいポイントとは? 画像:CUCURU編集部

―特に子どもが小さいうちは、子どもとの接し方に悩んでいる人も多いと思います。そんなとき、意識したいポイントはありますか?

「ママたちが子育てで一番手を焼くのは、お子さんの激しい自己主張にどう対峙するかということではないでしょうか。しかし、残念ながら“このような言葉かけが効果的”というマニュアルはありません。子どもは一人ひとり違う個性を持つ存在であり、専門的な技術や知識を持つ保育者でさえも太刀打ちできないのです。

では、保育者はどうしているのかというと、まず“子どもの思いをしっかりと受け止めること”を大切にしています。目の前の“困った行為”をすぐにやめさせることに躍起になるのではなく、“なぜその行為を行っているのか”という子どもの思いに注目し、その思いを受け止めることから始めます」

―どうして“まず、子どもの思いを受け止めること”が大切なのでしょうか?

「乳幼児は、大好きな身近な大人に自分自身を受け止めてもらうことで心の安定を得て、それを基盤に周りのものや人とどう関わっていったらいいのかを学んでいくのです。

とはいっても、ママだって人間ですから感情的になってしまうのも無理もありません。どうにも改善しない状態が続き、息苦しくなったら、ちょっと立ち止まって目の前の状況への見方を変えてみることがオススメです。“この場面で1番困っているのは一体誰なのか”を考えてみるのです。

実は、この時一番困っているのはママではなく、成長過程にあり葛藤状態のお子さん自身なのです。お子さんの“本当の思い・願い”をくみ取り、困り感をほどくお手伝いをちょっとだけしてあげましょう」

―例えば、どういったことができるでしょうか?

「スーパーでお菓子を買ってほしいと駄々をこねてきた時。お子さんの“買ってほしかった”という思いを受け止めて、“このお菓子好きだから買ってほしかったね”と共感しつつ、“でも今日はもうお菓子を食べたから、今は買わないよ。もうすぐ夜ご飯だからね。”など、買わない理由を話してあげましょう。そして、“明日、また一緒に買いに来ようね。”と次の見通しを示してあげて下さい。

それでも気持ちが収まらず、泣きが激しくなることもあるかと思います。ママとしてはさらに困ってしまう場面かと思いますが、この時一番困っているのはお子さんです。お菓子がいっぱい並んでいるスーパーに連れて来られたのに、我慢をしなくてはならないということはこの年齢の子どもにはまだまだ難しいことなのですから。

事情が許せば、別の場所に移動し激しい思いを泣いて表出させてあげましょう。そしてお子さん自身が気持ちを何とか収めていくのを傍らで待ってあげてください。これは自己をコントロールしていく力を培うことに繋がります。叱りつけて押さえてしまうだけでは培えない力です」

■ママは一人じゃない!「地域の取り組み」にも注目 画像:CUCURU編集部

―近年ではママが地域と関わる機会が減っているとのことでしたが、そんなママたちを地域社会はどのようにサポートしていけばいいのでしょうか?

「母親は、“ほどよい人との関わり”に対して幸福感を得るという研究結果があります。“ほどよい人との関わり”とは、具体的に言うと、日常的に挨拶をしたり、ちょっと立ち話をする関係の人が地域にいることを指します。“ゆるやかな繋がりを感じられる地域社会”は孤軍奮闘するママたちの子育てを温かく支える力を持っているということなのです。

母親は、出産して子育てを始めるまでは、学校や職場など社会のどこかに属しており、人との関わりを通して自分の存在が承認されていることを実感できました。しかし、子どもが生まれると、家庭にとどまり社会から隔絶された時間を過ごしがちになります。

気が付くと、子どもをあやしているだけで1日が終わってしまった、今日も大人と会話をしていない、という日々の中で、自分の存在の意味を見失ってしまいます。

そんなときに、地域の人に声をかけてもらうことで自分の存在を再確認することができるのではないでしょうか。

特に、出産することで自分が社会から隔絶されたという子育てに対する否定的な思いが強くなり悶々としているときに、“この子がいることで私は社会と繋がりが持てた”と、子育てをする自分の人生を前向きにとらえることが出来るようになります。

安心して子育てを進めていくためには、“親子を承認する社会の温かなまなざし”がとても大切なんですよ」


いかがですか?

子育てママの抱える悩みや地域社会としてできる子育て支援のあり方など、たくさん教えていただくことができました。ママは子どものこころに向き合うこと、地域の方々は子育て中のママに一言声をかけること、できることから実践していきたいですね。

また、金城学院大学では、子どもが安心して遊べる場、親子と社会が繋がる場として『KIDSセンター』を運営しています。ぜひチェックしてみてくださいね。

画像:CUCURU編集部

日比野 直子 金城学院大学 人間科学部 現代子ども学科 准教授 当事者(親・子)の視点に立った“子育て支援のあり方”を研究。 [現代子ども学科とは]
幼稚園・保育園、小・中学校や施設など、子どもに関わる仕事に関する専門的知識や技術を学習する学科。
心理学や社会福祉をはじめ、近年重要視されている“保育相談支援”という、保護者に対する支援のあり方も授業で学習。
また、教育施設や子育て支援センターなどの現場で、実際に子どもや地域の方々と関わる経験も大切にする。